内需を見込んで台湾企業が進出
1990年代、台湾政府の南向政策の下、インドネシアへの投資が盛んだったが、97年には政治経済が不安定になり、台湾企業の投資は西の中国大陸へと方向転換した。それが最近、欧米市場の景気が悪いことや中国大陸の人件費上昇などがあって、再び南のインドネシアが注目されるようになった。
劉景中によると、インドネシアに進出している台湾企業の多くは、繊維・既製服、製靴、自動車・金属部品などの産業に従事しているが、最近は内需に目を付けて飲食産業や情報通信など、内需型のサービス業が進出し始めている。
台湾のカフェチェーン丹堤(ダンテ)は、2006年にインドネシア二代目華僑のHengky Wijayaと代理契約を結んで進出した。
ダンテは台湾では手頃な価格の飲料と軽食を売り物にしているが、Wijayaがジャカルタの高級デパートに出した一号店は中間層以上をターゲットとし、1000万台湾ドルをかけた100坪のレストランである。ダンテは今ではスマトラやスラバヤ、バンドンなどの大都市に25店舗を展開している。
米国のバークレーやハーバードに留学し、今はメリルリンチに勤める三代目華僑の姚皇泓は、台湾グルメの代表である鼎泰豊の小籠包をインドネシアに進出させた。鼎泰豊のインドネシアでの価格設定は台湾より2割高いが、ジャカルタの高級デパート内にあり、いつも混んでいる。
この他に、台湾人にはなじみ深い茶飲料チェーンのCoCo都可、薡茶、日出茶太、快可立なども合弁や代理の形で進出している。
インドネシアに来て30年になる台湾人ビジネスマンの李勇芳は2年前にビジネスチャンスを見て取り、台湾から技術移転を受けて「慕求」ブランドの漢方薬「冬虫夏草」の生産販売を始めることにした。ジャカルタの華人が多く暮らす地域に店舗を構え、1瓶600台湾ドルで売る。まだ製品の許可を取らなければならないが、人工栽培を始めており、すでに少なからぬ問合せがあるという。
2000年にインドネシアに工場を設立し、5000名の従業員を擁する既製服受託生産の聚陽も昨年からインドネシアでの事業規模を拡大し、今年の夏には自社ブランドFissoの発売を開始する。
聚陽のCEOアシスタントである蔡維溢によると、Gapやユニクロ、Zaraなどの国際的なブランドもインドネシアに進出しているが、現在同国内での海外ブランドのシェアは5%に満たず、多数のメーカーが競い合っている段階で、聚陽が自社ブランドを打ち出すには良いタイミングだという。「東南アジアは絶好のスタート地点で、今こそインドネシア市場に進出すべき時機です」と言うのだ。
この十年、代理店を通してインドネシア市場に参入していた大手タイヤメーカーの正新も、8000万米ドルを投じてインドネシアに工場を建設することを10月に発表した。日系自動車メーカーのサプライチェーンに入ることを目標にしている。