高精度スポーツテック
「2017年の台北ユニバーシアードにおいて我が国が好成績を上げたことで、産官学によるアスリート支援の機運が盛り上がりました」と国科会人文及社会科学研究発展処の蘇碩斌処長は言う。
2018年から国科会と台湾師範大学スポーツ‧レジャー‧ホスピタリティ管理研究所(大学院)の陳美燕‧特任教授によって進められた「高精度スポーツ科学プロジェクト」は、トレーニングや競技に必要なテクノロジー‧ツールを開発するもので、その成果の一部はすでに代表選手のトレーニングに取り入れられ、商品化もされている。
例えば台北市立大学運動器材テクノロジー研究所(大学院)の何維華‧特任教授は、東京五輪の重量挙げ金メダリストを指導した林敬能コーチとの協力でトレーニングにおけるニーズの掘り起こしを進めるとともに、陽明交通大学、国家運動訓練センター、国家中山科学研究院、工業技術研究院、そして各産業界に呼びかけて学際的チームを編成し、音や振動を軽減するマット、バーベル軌跡記録システム、スマート‧ミラー、フィードバック‧アプリといった重量挙げのトレーニング‧ツールを開発した。ほかにもパリ五輪を目指し、スマートベルト、高精度食事管理テクノロジー、AIロボット‧コーチなどを開発中だ。
何教授は、バーベルが落下して跳ね返る際にケガをすることもあるので、マットには国家中山科学研究院の軍用STF(せん断増粘流体)素材を用い、バーベルのリバウンド回数や騒音時間を減らしていると言う。
また重量挙げの動作のチェックには、カメラ内臓のスマート‧ミラーを使う。画像自動認識システムで選手の姿勢を確認でき、しかも仮想選手の正しい動作と比較して修正を行うことも可能だ。またAIコーチングシステムを使えば、2分以内に選手のパフォーマンスの分析結果がわかる。
何教授によれば、コーチは自分の視点からしか選手を指導できないが、台北市立大学のチームが開発したAIコーチロボットがサポートすれば、複数の視点からの観察が可能になり、微妙な動きのテクニックを即時にフィードバックできる。
また同チームは、ケガした選手の練習用に外骨格ロボットも開発した。ケガを保護するだけでなく、選手が痛みを感じた時点でロボットがアシストしてくれる。
腰椎への衝撃を減らし、選手の体幹を安定させるベルトも設計された。ベルトに接続された計測装置(IMU)によって体幹角度が正しいかどうかもわかるので、将来的にはあらゆるレベルの重量挙げ競技での使用が見込まれている。

清華大学スポーツテクノロジー研究センターのチームやボクシングの李桂芬コーチ(右1人目)は、ボクシングのスカウティングや高精度トレーニングの新たなテクノロジーを開発している。