統一・独立は民主と平和で
今回、国民党は良い機会に恵まれています。かつての国民党は「反共」と「大中国」というイデオロギーで国を統治し、民進党も「台湾独立」と「エスニックの怨恨」というイデオロギーで統治し、両者共に多元的な市民社会の確立に取り組みませんでしたから、新政権はこの方向で努力できます。しかし残念なことに、M型社会のもたらす貧富の格差、少子化、エスニック和解、新移民などの問題について、新政権は将来性のある政策を打ち出していません。
統一・独立の問題についてですが、台湾はすでに多元的市民社会の原型を有しています。アメリカのフリーダムハウスによると、台湾の言論の自由はアジアトップで、世界195ヶ国中32位です。私たちはこの環境を大切にしなければなりません。統一か独立かについては、どちらが良いとか正しいとかの問題ではなく、両者ともに尊重されるべきです。
私は民進党出身で、台湾に「国家のイメージ」を抱いており、独立できれば良いと思っていますが、国民が統一を望むなら、中国にその機会を与えてもいいと思います。ただし、統一にしろ独立にしろ、「民主」と「平和」という二大価値を基礎とすることが重要です。
例えば陳水扁総統は独立を追求し、民主的手続(公民投票)を重視しましたが、その一方で中国を刺激し挑発しました。これでは中国と武力衝突の可能性が生じ、国民の求める「平和」と安定、繁栄に反します。
統一を主張する人々も「平和」だけを重視したのでは「投降式の統一」になってしまいます。民主主義を重視し、民主的手続を踏み、市民社会のメカニズムを通してコンセンサスを得なければ「台湾を売る」という疑いは晴らせません。中国も、台湾の前途は全台湾人民が決定するということを知り、台湾の民心を得る必要があります。さらには、中国自身の民主化が将来的な統一の基礎になるでしょう。そうなってこそ双方の利益にかないます。もし武力で強制的に統一を迫ったのでは、かつての二二八事件のように、より深い傷が残ります。
話し合いによる「団結」
現在までのところ、新政権が強調する両岸開放の内容は経済貿易分野に集中していますが、これは実際にはすでに進んでいて、しかもそれは大企業の利益にかなうものです。しかし、両岸関係においてはこの点ばかりに着目するべきではなく、将来的に最も重要なのは民間社会の交流です。
例えば、中国でも少しずつNGOが発達しつつあります。まだ完全に自主的とは言えず、大部分は政治的コントロールや政府の監督を受けていますが、少なくとも市民社会の雛形は少しずつ発展してきました。これまで台湾政府が非常に厳しく制限してきたため、中国のNGOが台湾に来て交流することは困難でしたが、今後はこれを奨励し、民間の往来を活発にしていくべきでしょう。
さらに、例えば中国では黄沙の問題が非常に深刻ですが、我が国の農業委員会は友好国で砂漠を畑に変える協力をしてきた経験がありますから、こうした面で中共と協力することもできます。また、台湾の慈済は中国党局からも認められ、合法の法人として登記しています。今後、新政権は外交と国防も調整しなければなりません。外交面では過度の親米と中国排斥は避けて中間に寄れば、台湾は米中のコマにならず、むしろ米中の架け橋になれ、東アジアと世界の平和において重要な役割を果たすことができます。これらは私たち自身で始められることです。両岸関係改善にやや多くの力を注ぎ、アメリカから兵器を買う力をやや少なくすれば、相手はそれを感じるでしょう。
私は、新総統はあまり事務にとらわれるのではなく、多くの書を読んで品格のある政治家になってほしいと願っています。例えばダライ・ラマはスケールも人格もアピールも、すべてに正当性があります。このような政治家が台湾を導けば、台湾は必ず成功するでしょう。
私たちはかねてから北欧に倣うべきだと主張しています。例えば1928年、スウェーデン社会民主労働党のハンソン党首は「国民の家」という理念を打ち出し、自由と平等と「団結」を強調しました。平等なら差別はなく、エスニックの感情を扇動することもできません。団結のために、彼らの教育は競争を重んじず、協力を通して共に創造することを重視します。
「話し合い」こそ北欧精神の核心です。1930年代まで、スウェーデンの労使紛争は世界でも最も激しく、労働者が工場の設備を全て破壊してしまうことも珍しくありませんでした。しかし団結の理念が導入され、忍耐強い話し合いを経て、今はまったく変わりました。これこそが理念と価値観の力で、我々に必要なものなのです。