地域のために力を出す
子供たちに良好な学習環境を提供し、地域社会への住民参加の機会を作るために、ワールド・ビジョンでは学校を建てると同時に水利施設や医療衛生の建設も行なっている。
エリクソンさんによると、ニアス島の住民の9割はゴムで生計を立てている。男性は一日中ゴムの樹液を集め、女性は毎日水を探して汲んできて三食を作るので、子供の世話をする時間がない。そこでワールド・ビジョンは6つの村に貯水タンクと長さ19キロの水道管を設置し、6000人の水の問題を解決した。山を越える水道管の設置には各村の村民が参加し、地域の結束力も高まった。
「最初は皆が抵抗しました」とワールド・ビジョンの地域連絡係を担当するワルルさんは言う。しかし2年の努力を経て、村民たちも皆で智恵を出し合って参加することの重要性を理解するようになり、自分の時間を犠牲にしても地域のために力を出すようになった。
例えば、月に一度の母子健康診断では、村長夫婦の呼びかけで少しずつ女性たちが手伝いに来るようになり、公衆衛生士が予防接種をする時に、子供の健康診断や衛生教育に協力している。以前は子供たちの栄養状態が悪く、痩せているのに寄生虫でお腹が膨らんでいて、親もどうしたらいいのか分からなかったが、今はそうした状況も大幅に改善された。村にトイレを建設した時には、ワールド・ビジョンが鉄筋やセメントや設備の費用を出し、村民たちが石や木材を持ってきて一緒に施工した。
「いつも村民たちに話しているのは、いずれワールド・ビジョンはここを出て行くので、住民が主人公にならなければならない、という点です」とワールド・ビジョン・タイワンの劉芬芸さんは言う。その話によると、再建の根本精神は「地域社会の自立」で、これには長い時間がかかる。ワールド・ビジョンは教育から着手し、それから家庭、社会へと少しずつ拡大してきた。これまで3年、教員チームとコミュニティ組織の努力によって基礎ができ、村民が地域のための労働に加わり、学校へも寄付をするようになったので、地域参加への第一歩はすでに踏み出したようである。
災害から4年目に入る新たな段階を迎え、ワールド・ビジョンは再建の重点を今後10〜15年のコミュニティ発展計画に移していくという。地域組織の強化や地域リーダーシップの育成、それに農業技術や農業経済の導入などを通して、村民が自給自足の生活を送れるようにするのが目標だ。
山村で話を聞きながら一日過ごし、下山する頃には日は暮れかかっていた。山を降りる道は真っ暗で、家々からはほの暗いランプや蝋燭の明かりが漏れてくる。街まで出てようやく見慣れた電灯を目にした時、その強烈な対比から、ワールド・ビジョンの努力への敬意がこみ上げてきた。
ニアスでは今も島の半分には電力が供給されておらず、トイレも、ここ数年各国のNGOが入ってきてからようやく普及し始めたというのが現状だ。インドネシア政府も力が及ばないこの僻遠の島に、世界のNGOがソフトやハードの建設と発展への希望をもたらした。大地震と津波という災いがニアスで福へと転じつつある。

CLCCは教材や教え方の考案から教室管理まで、学校に大きな変化をもたらした。写真はテテホシ小学校で点呼をとるユニークな方法。

ニアスの人々がposyanduと呼ぶ各地の健康ステーションは、放置されて機能していなかったが、ワールド・ビジョンが住民に奉仕を呼びかけ、看護師が妊婦や子供の健康診断を行なう健康センターへと生まれ変わった。写真は幼児の体重測定の様子。

女性たちが水を探して汲んでくる手間を省き、もっと子供の教育に関心を注げるよう、ワールド・ビジョンはマンドレヘ地区の6つの村に貯水タンクと水道管を設置した。

ワールド・ビジョンは数々の教材を提供している。写真はテテホシ小学校。