台湾の水産養殖の歴史は長く、オランダ人が統治していた時代には台南沿海でサバヒーの養殖が始まっていた。数百年にわたり、台湾の漁民は大自然と闘い、養殖池を開き、苦労を続けてきた。台湾各地の漁業の歩みは異なる。南部と北部は岩礁が多く、海岸線が入り組んでいて天然の漁場も近いため、多くの漁港がある。一方、西部の海岸は平坦で土砂が堆積しており、また東部の海岸は断崖絶壁が連なり、漁港が設けられる場所は少ない。そのため台湾の漁港は南北に多く、東西には少ないのである。
地球環境と世界の流れが変わる中、台湾の近海漁業も生産型から保全型へと変わり、漁港も変ってきた。例えば宜蘭県の場合、北から石城、大里、大渓、梗枋などの小規模な漁港には小型漁船が停泊している。一方、レジャーをメインとする烏石漁港はホエールウォッチングとシーフードで知られ、また蘇澳漁港は大型漁船の水揚げと補給に忙しい。特に近年は持続可能な漁業という概念が広まり、定置網を主とした漁法が重視されている。
漁港は海への起点であり、また地域の漁業を知る窓口でもある。漁港の形態や漁船の種類、漁獲の取引などから、現地の漁業や漁村の暮らしが分かるというものだ。今月の『光華』は、シイラ、カジキ、サバヒー、そしてカキの養殖まで台湾各地の漁業文化をご紹介する。これらの記事を通して、それぞれの海産物を味わう時に、その背景にある生活や生態、文化なども広く感じていただくことができるだろう。今度漁村の魚市場を訪れたら、市場に並んでいる魚介類が鮮魚なのか、近海物なのか、養殖なのか、それとも遠洋のものなのか、観察してみる。そうすれば旅の深さも増し、台湾の海に対する理解もより深まることだろう。
このほかに今月号では、台湾で最も長い河川--濁水渓をご案内する。濁水渓流域の物産や祭りなどの文化的な視点から、台湾の母なる川について考えてみたい。今月号ではさらに、白黒写真のカラー化、「2023 SDGs ASIA」の見どころ、和平島の歴史など、さまざまな角度から台湾の素晴らしさをご覧いただく。そして今月は「海の味」を中心に視野を広げていきたい。漁港は漁業の基地であるだけでなく、マリンレジャーや海洋教育の拠点でもある。島国の一員として海を知り、海を大切にするには、まず「漁港」から始めてはいかがだろう。