Q:台湾でも高齢化と少子化が進み、労働人口の高齢化が心配されていますが、経済建設委員会としては、どのような対策を採っているのでしょう。
A:まず出生率を高めるために、客観的な障害を排除していく必要があります。女性が子供を産みたがらないのは、託児費や教育費など子育てにお金がかかりすぎ、また職場での昇進に影響するからです。かつて我々は孫子に囲まれて暮らしたいという利己的な動機で子供を産みましたが、今の人たちは子供を愛するために産むのです。そうした中では、客観的なサポートがなければ若い人は子供を産もうとしません。
最近は状況が大幅に改善されました。2年前に「男女雇用平等法」が実施され、社員数250人以上の企業は託児所を設けるか、付近の託児所と協力することになり、子供の送り迎えが便利になりました。さらに育児休暇の穴を埋めるためのパート採用も許可する必要があります。
Q:人口の高齢化は台湾の産業にどう影響するのでしょう。
A:現在すでにサービス業に従事する人口が製造業やハイテク産業のそれを上回っており、これを拡大していきたいと考えています。銀行保険、広告設計、医療介護、美容健康、旅行レジャーなどの業種は生産高の高いサービス業で、中高年も働ける分野です。
サービス業は雇用を創出できますが、ガソリンスタンドや百貨店、介護など多くのサービス業が求めているのはパートタイマーです。労働基準法はフルタイムの社員を基準にしているのでパートは保障されておらず、労働条件をフレキシブルにしなければ、働くか働かないかの二者択一になってしまいます。パートタイマーも規定に加え、二度目の就職が必要な中高年の需要に応えていきたいと考えています。
Q:経済建設委員会が行なった高齢化に関するシンポジウムでは、定年年齢の引き上げも提案されましたが。
A:産業構造が変る中、短期的には定年年齢は前倒しされますが、長期的には引き上げなければなりません。
以前は生涯学習の制度が整っておらず、多くの人が一つしか専門分野を持っていませんでした。そのため、会社が倒産したり産業構造が転換したりすると、構造的な失業が生じ、多くの人が早めに退職せざるを得なくなります。
長期的に見ると人口は高齢化していくので、高齢でも健康な場合は定年を引き上げるか勤務を延長するべきだという議論はありますが、まだ初歩的な構想の段階です。
米国では80年代に、2030年には社会保障制度が財政危機に陥ると予測され、定年年齢の引き上げが提案されましたが、実施されたのは2000年のことで、65歳定年が2年ごとに1ヶ月延長されることになりました。これは衝撃が最も少ないゆっくりした変化です。
Q:理想的な退職制度としては、どのような設計がなされるべきでしょう。
A:西洋では、第一に国による国民年金と労働者保険があり、第二に企業退職金、第三に個人の貯蓄があって、前二者で所得代替率が60〜70%に達します。
台湾の企業は労働基準法にしたがって社員の退職金を保障していますが、労働基準法の旧制度では、同じ企業に25年以上勤務しなければ退職金を申請できませんでした。しかし台湾の中小企業の平均存続年数は13年に過ぎないので、9割の労働者は退職金を得られなかったのです。労働者には労働者保険がありますが、こちらは5年以上勤務した者しか対象にならず、そのため5年未満で退職した女性など、全体の3分の1は保障されません。2002年に立法院に交付した「国民年金法案」はこうした人々を保障するもので、これが成立すれば保障は完備します。
Q:高齢化が進み、短期間に多くの人が退職すると政府の財政が破綻するのではないかという懸念もありますが。
A:財務の重要な精神として、年金や保険料の納付者に、退職したら必ず受け取れると約束しなければならず、そのためは財務を定期的に公開し透明化する必要があります。
米国では初期の頃、労働者から保険料を受け取ってそれを退職者に渡していました。納付者は自分の貯蓄だと思って納付したのに、実はすでに他者に給付されていたのです。ベビーブーマーが退職し、就労人口が減少した時、これでは収入が支出をまかなえないという問題が生じます。そこで米国では80年代から少しずつ納付額と退職年齢を引き上げてきました。また退職金とその他の所得が一定額を超える者は、納税しなければなりません。我が国の社会保障制度も同様の課題に直面していますから、米国の経験は参考になると思います。