今会期の立法院は大荒れの中で幕を閉じ、洪秀柱は国民党副主席として福建省アモイで開かれた第4回海峡フォーラムに赴いた。そこで台湾の利益を守る力強い講演を行ない、台湾海峡の平和と文化交流の特使として見事に役割を果たした。
多忙な中でインタビューを受けた洪秀柱は、生き生きとして巧みな表現を駆使し、まさに「小粒の唐辛子」というイメージであった。政界には欠かすことのできない力強い存在である。
Q:女性として初の立法院副院長に就任なさいましたが、これは男女共同参画社会の実現とお考えでしょうか。新しい役割における課題はどこにあるとお考えですか。
A:私が副院長に選ばれたのは女性だからではなく、「下積みが長かった」からだと考えています。行政部門に比べて、国会は年功を尊重し、それが専門性と経験の継承を象徴します。例えば、新任の立法委員や官僚が良く知らない法案について、私はその起源から説明することができます。また、私は事実しか問わず、小さなグループを作ったりしないので、立法委員と良好な関係にあります。
副院長の仕事は、主に院長に権限を授けられて本会議の議長を務めることで、中立の立場で議事手続に従って進めます。一番「辛い」のは質疑に立つ楽しみがなくなったことです。論争になっても以前のように自ら道理を説くことができず、個人の意見は党内の会議でしか述べられません。
ただ、院長とともに国会外交の重責を担えるのは幸運です。外交関係が限られている我が国では国会は最良の外交ルートで、各国の国会議員との交流を通して相手を説得し、その国の政府に台湾を支持するよう影響力を発揮してもらうことができます。私は外国からの貴賓をもてなす際、台湾に良い印象を抱いていただけるよう、可能な限り寛大で堂々とした態度を採っています。

第5期立法委員選挙で、支持者の大型バイクチームと一緒に支持を呼びかける洪秀柱。
Q:20年余り国会議員を続けて来られた原動力と、今までの達成感をお話し下さい。
A:政治に特別な自負はありませんが、常に仕事に全力で取り組めば、自ずと達成感や存在の価値観を得ることができます。
私は立法院で法案や予算を審議するのが好きです。良い法案は国民の福祉につながるからです。例えば、かつて憲法は、教育予算は全体の15%を下回ってはならないと定めていましたが、1990年頃に教育予算の水増しが目について廃止されました。しかし、教育は国の根幹ですから私は予算編成の弾力性と合理的保障を考慮した『教育予算編成・管理法』を提出し、2000年11月に成立しました。
また『全民健康保険法』改正時には他の委員を説得して「医薬分業」を実現しました。これによって薬剤師の調剤権が確保され、国民の薬品使用の安全が一層保障されるようになりました。
もう一つ、連続3期にわたって『教育人員任用条例』の条文追加を提案し、2003年12月に採択されました。これはスポーツ選手が引退後に学校のコーチに就任できるようにするもので、スポーツ界の人材育成にとっても重要です。
Q:議員は有権者サービスに多くの時間を取られますが、立法院での法案審議や施政監督の仕事とどのようにバランスを取るのでしょう。
A:国会議員が関心を注ぐべき焦点は国の発展と国民の福祉であること忘れてはならず、常に国の将来を考えることが大切です。選挙区運営も重要ですが、国会議員が町長のようになってはならず、地方の建設に関しても国家資源全体の分配を考慮する必要があります。そのため、一部の国は国会議員の半数を比例代表制にしています。

チャリティ活動に積極的に参加する洪秀柱は、ボランティアにとって優しくてユーモラスな姉貴分である。
私も選挙区の出身ですが、支持者サービスや接待には自分で選択の基準を設け、一貫して国会での仕事に重点を置いています。予算審査の時期には番組出演も全て断って審査に集中します。
支持者の活動などへの参加をお断りする時は、「ごめんなさいね。私は足が短いし、独り身なので追いつかないんですよ」とユーモラスに言うと、皆さん理解してくださいます。
ただ、時には有権者から筋の通らないサービスを求められることもあります。立法委員には特権があるのかと罵る一方で、ルール通りの方法で解決できない問題を立法委員の特権で解決しようというダブルスタンダードです。そういう時は、解決は難しいが試してみましょうと言い、例えば政府の担当者を呼んで、どこが困難なのか説明してもらいます。これで陳情者は私たちの誠意を感じ、受け入れていただけます。
私にとって立法院は「道場」のような修行の場です。修行では脅迫や誘惑にも動じず、冷静に対処しなければなりません。「巨大な山が目の前で崩れても顔色一つ変えない」という気概が必要です。

2001年末、当時の馬英九台北市長が立法委員の選挙活動で洪秀柱の応援に立つ様子。
Q:男女共同参画社会に向けて改善の余地がある点はどこでしょう。政治を志す女性たちにアドバイスをいただけますか。
A:公務員体系には改善の余地があります。一般公務員には女性が多いのですが、管理職になるとその割合は低くなります。女性は伝統的観念から家庭を守らなければならないと考え、単身赴任や外勤の仕事を受ける意欲が低いことなどの要因が挙げられます。
また、管理職自身も女性は重責を担えないと考えがちです。ただ、男女共同参画の概念は普及しつつあり、男女の競争者の条件が同じ場合は女性を採用して管理職の性別比率の均衡を図り、人材育成でも男女均衡を徹底させるべきです。
政治に携わる若い女性は、孔子の言葉「位無きを患えず、立つ所以を患う」を参考にしてほしいと思います。まず己を充実させ、チャンスが来たら、期待に背かぬよう懸命に努力し、後進のために道を開くことです。
次に、政界に「誤って紛れ込んでしまった」という結果にならないよう覚悟も必要です。この世界はさまざまな試練に満ちていて、時には辱めを受けることさえあります。今は官僚にとって非常に厳しい時代で、常に攻撃されるのでプレッシャーに耐える力が必要です。閣僚は理想的な政策を実現するために周到に考え、国民にも分かる言葉で説得できなければなりません。
議員の場合は、支持層を育てるとともに知識と専門性の基礎を固め、人々に自分を理解してもらい、支持を勝ち取らなければなりません。
新任の立法委員には、ベテラン委員の言行を参考にすることを勧めます。臨時提案や国是論壇を練習の場とし、焦らず、絶えず学習して思考をまとられるようにしていけばいいでしょう。
自由な独身生活Q:台湾の女性政治家の多くが独身ですが、どうお考えですか。ご自身は独身生活をどのように送っていらっしゃるのでしょう。
A:独身を悪い見本とか失敗ととらえるのは遅れた考えです。私は独身でいることを犠牲だと思いませんし、縁があれば結婚するでしょう。多くの人は私たちの猛々しい姿しか知らず、「優しくて控え目な」一面を知りません。そのために青春を数十年も無駄にしてしまいました!(笑)
後悔はありません。かつて交際した人たちも「いい人」ですが、時間が当時に戻っても結婚はしません。長く一緒にいれば、お互いに相手の欠点が目について不満が出てくるでしょう。
ですから、互いに無いものねだりをしても始まりません。独身の良い点は、広い世界に自由に遊べることです。私の母は「朝ごはんを食べるまでは朝、結婚するまでは子供」と言いました。ですから私は今も元気一杯なのです。
一人暮らしの今は、喧しい立法院から帰宅すると静かに本を読んだり音楽を聞いたりしています。既婚の女性立法委員は帰宅後も忙しくしているかと思うと、本当に敬服します。独身女性の皆さん、妥協してまで結婚してはいけませんよ。
両岸問題では驕らずへつらわずQ:先頃、訪問団を率いて参加なさった海峡フォーラムについてお話しください。
A:開幕の祝辞で、私は杜甫の詩「人生交契老少無し、論交何ぞ必ずしも先ず同調せん」を引用しました。両岸関係は「異を残して同につく」べきで、共通の目標は平和と安定的発展、「異」は馬総統が述べた通り、主権の争議は棚上げし分治の現実を受け入れる、というものです。
私は台湾の代表として初めて、先人が台湾海峡を渡った奮闘の歴史を語りました。両岸の交流が深まるに連れ、大陸の発展を願う一方で、台湾人民は対岸からの尊重と善意を求めています。そこで私は、両岸は分かつことのできない文化の血脈でつながっているのだから話し合えない問題があるだろうか、と呼びかけました。対岸には、台湾と台湾人の感覚をより深く理解し、より思いやりをもって台湾と向き合うことを期待します。
将来の平和のためのプラットホームとして私は四点を提案しました。ECFAの後続効果を上げること、高等教育交流の継続、両岸文化フォーラムの開催、文化クリエイティブ産業の発展、そして今まで誰も提案しなかった歴史の真相の復元です。「国共史」を含めて新たな価値の基礎を築いてこそ両岸問題の根本解決につながるからです。
対岸との対話では、驕りもへつらいもせず、堂々と立場を明確にすることが大切です。私たちは両岸の平和を願い、対岸には台湾の期待と原則を理解していただきたいと希望しています。