クロマグロが呼んでいる
小琉球の海には、底生魚や回遊魚が多い。シーズンごとに、土魠魚(サワラの一種)、飛魚(トビウオ)、白帯魚(タチウオ)などが捕れ、1年を通じて鬼頭刀(シイラ)、石斑魚(ハタ)、黄魚(キグチ)が捕れる。食卓を彩る海の幸は多彩だ。台南名物として知られる土魠魚の多くは、小琉球の漁船で釣り上げられる。近海から遠洋の漁船は主にマグロや旗魚(カジキ)、鯊魚(サメ)などの高級魚を追って漁に出る。
毎年4月から6月はクロマグロの漁が最盛期を迎える。この時期、回遊性の北方クロマグロは台湾南端のバシー海峡海域で産卵準備をするため、最も脂がのって美味い。2001年より屏東県府は「クロマグロ文化観光フェスティバル」を開催し、開催地「東港」の名を全国に轟かせた。数10億元にも上るビジネスチャンスを創り出し、クロマグロの落札価格も年々上昇を続けている。2023年3月に水揚げされた初物は、1キロ当たり10,200元の新高値を記録し、マグロのシーズン開幕を華々しく宣言した。
クロマグロの旬に漁師魂が燃え上がる。小琉球の近海漁船は全員総出でクロマグロを追う。漁船が頻繁に出入りする様は、まさに「海のゴールドラッシュ」である。
港のキャパシティに制限があるため、小琉球の埠頭には近海で作業する漁船やサンパン(小型の木造漁船)、釣筏しか停泊することができない。また島には卸売市場がないため、大型船の荷下ろしや取引をするには屏東の東港か、高雄へ行く必要がある。琉球区漁会の推定では、東港の漁獲高の60%以上は小琉球籍の漁船からの水揚げであり、屏東の「初物」マグロの多くは小琉球の漁船で採れたものだという。
漁師の歌は豊漁の喜びを表現する。「白波を恐れず 舵を取って前へ 魚の家に網を投げ込み 大物釣りあげ大笑い」しかし、近年は水産資源が減少傾向にあり、燃料や人件費などのコストも高騰しており、海に出ても魚が捕れなければ、採算が合わない。それでもクロマグロのシーズンとなれば、船長たちは海に出たい。
王士堂船長の船が港に着くと、知らせを聞いて集まった人々に取り囲まれる。油魚子(バラムツ)は売約済み、しっかりと脂がのった鬼頭刀は値が上がるのを待っている。王船長は「海に出るからこそチャンスがある。宝くじを買うのと一緒です。」という。
島のあちこちで、海に出る人の間食として麻花捲(かりんとう)を売っている。琉球郷公所の陳盈宏秘書は、「昔、経済的な余裕がなかったころは、子供がおやつを欲しがる時や、父が海に出る時に、母が麻花捲を揚げてくれました。」と話す。琉球郷では主に鬼頭刀が捕れる。鬼頭刀の干物はチャーハンや端午節の肉チマキにも使われ、魚卵は味も香りも良い。どれもこの地の特産物である。

小琉球海域は水産資源が豊富で、市場に並ぶのは主に「現流仔(ヒエンラウア:水揚げしたばかり)」。海鮮物は必ず味わって、お土産にしてほしい名産品だ。