細部へのこだわり
手頃な価格で庶民的なイメージの熱炒は、高級料理にはなれないのだろうか。
飲食店2代目として廖さんはそれをきっぱりと否定する。
廖さんの職場は桃園市楊梅にある「首烏客家海鮮餐庁」だ。「最初は弁当店だったんです」と、ちょうど忙しい昼食の時間帯を過ぎ、エプロンを外して語ってくれた。幼稚園の頃から父の店で料理を詰めるのを手伝っていたという廖さんは、大柄で全身に入れ墨をし、料理時にはイヤホンを外さない若者だ。すでに20年を超える豊富な厨房歴を持つ。
長くやっているうちに料理という行為は好き嫌いを超え、骨の髄に刻まれた「やらなければならないこと」になった、と廖さんは言う。
2年前に、ある友人の勧めで、自ら考案したメニューを「猫人私厨(猫人の創作料理)」と名づけて店で出すと、グルメの間で評判となり、予約が取れないほどの人気となった。
彼の料理は多くが熱炒だが、一般の熱炒店と比べて質の高さが感じられる。料理の工程が細かく複雑なため、「精力の少なくとも9割を調理に注ぐ」と言う。
自慢の料理「客家大炒」は、料理人として作り続けてきた「客家小炒(有名な客家料理)」をアレンジしたものだ。大ぶりに切った豆干(押し豆腐)と、揚げてからさらに炒めた豚の頭部の肉、そしてイカが加わり、具材の豊かな食感と醤油のうま味が見事な調和を生み出している。
「薑絲大腸(千切り生姜と豚の大腸)」も、客家伝統料理を新たに変身させたものだ。煮込んでから炒めた大腸は歯ごたえ抜群で、それに酢を効かせて炒めた漬物と生姜の千切りが加わる。インパクトある味わいで、酸味も癖になる一品だ。
「桂花烏魚子米粉(木犀風味カラスミ・ビーフン)」は、名シェフ、アンソニー・ボーディンによって紹介されたイタリア・サルデーニャ島のカラスミ・パスタから着想を得た。炒める過程で一切水を加えないためビーフンがべちゃつかず、調和のとれた味を生んでいる。
「強火を愛する中華料理人として、食材を自在に操りたいです」と廖さんは言う。彼の料理は、食材そのままの味を出すと言うよりは、強火で炒めることで絶妙な香ばしさを加えるものだ。しかも彼は、料理のあらゆる要素を分解して味の表現や食材の選択・組合せを解釈し、料理同士のつながりなどにもこだわる。こうして彼の料理は豪快でありながら繊細なものになっている。
廖さんは料理をより深く理解するために音楽や芸術も好んで鑑賞する。「料理は音楽や芸術のように、二次元、三次元、四次元の表現ができます。加えていくのですが、単なる足し算より広がりがあります。こうした感覚は最終的には一種の哲学のようになりますが、私はこれこそ人類の文化の最もロマンに満ちたところだと思います」とのことだ。このような得がたい追求こそが、平凡な料理をはるかな高みへと導くのだろう。
.jpg?w=1080&mode=crop&format=webp&quality=80)
金門のサメハダホシムシは、見た目も食感もガチョウの腸に似ている。(黄之暘提供)
.jpg?w=1080&mode=crop&format=webp&quality=80)
家庭料理ではめったに見かけない、イカのくちばし揚げ。
.jpg?w=1080&mode=crop&format=webp&quality=80)
基隆のカレーサテ・ソース料理。イカと豚肉を炒めるのが一般的だ。
.jpg?w=1080&mode=crop&format=webp&quality=80)
馬祖のカメノテ炒め。甲殻類のカメノテは中国語で「佛手」と言い、地元の人は「筆架(筆置き)」とも呼ぶ。(黄之暘提供)
.jpg?w=1080&mode=crop&format=webp&quality=80)
セルフサービスのご飯はお代わり自由になっていて誰でも満腹になれる。
.jpg?w=1080&mode=crop&format=webp&quality=80)
廖政竑さんの考案した熱炒料理は数多い。強火で一気に炒めた豪快さと細やかなこだわりが融合している。
.jpg?w=1080&mode=crop&format=webp&quality=80)
さまざまな料理法を試すのが好きな廖さんは、「客家大炒」の具材をさらに千切りにして、異なる味わいを生み出した。(廖政竑提供)
.jpg?w=1080&mode=crop&format=webp&quality=80)
色とりどりの灯りがともって熱炒店の開店だ。ここには、空腹を満たし、気分を盛り上げてくれる食べ物が必ずある。