多数の女性科学者
この台湾の傑出した女性科学者を称えるための賞は、今年で7年目を迎える。わざわざ女性科学者賞を設置しているというのも、科学の分野で男女のバランスを欠いていることを示すもので、女性科学者の数が男性とバランスする時が来れば、このような賞の存在は必要なくなるだろうという人もいる。
実際、世界の科学界の男女不均衡は今に始まったことではない。ノーベル賞の百年の歴史を見ると、女性受賞者の比率は5%に過ぎず、中でも科学関係の受賞者はさらに少ない。
現在の台湾でも、科学者の人数の男女差は相当に開いている。交通大学の呉妍華学長によると、交通大学の教授の男女比は10対1と言う。
現段階では女性は少数だが、すでに男性顔負けの成果を上げつつあり、それぞれの研究領域で地位を築いているのも事実である。
2008年に第1回の傑出した女性科学者賞を受賞した中央研究院のアカデミー会員・彭汪嘉康は、そのよい例であろう。腫瘍細胞の遺伝染色体の分野で先駆的な研究を行い、今世紀における最大の死因であるがん治療への貢献という点で、台湾ではその右に出る者はいない。
「研究に専念していれば、いつかは必ず認められます」と彭汪嘉康は後進を励ます。
今回の女性科学者賞はライフサイエンスをテーマに選択していて、その受賞者はイネの遺伝子を主に研究した中央研究院のアカデミー会員で分子生物研究所の特任研究員である余淑美と、非喫煙の女性肺がん患者の病因を分析し、老化メカニズムを積極的に研究している国家衛生研究院集団健康研究所の熊昭所長である。
これらの女性科学者の卓越した業績は、今では広く認められている。
余淑美を例にとると、台中県外埔の農家出身の彼女は、水稲とは一生切っても切れない関係にあると語る。これまでに、イネの遺伝子組換えの分野の研究に20数年を費やしてきたが、その目的は劣悪な環境に耐える遺伝子を探すところにあった。干害や冷害、塩害に耐えられる特異な性質を有する遺伝子を探り当てることで、イネの環境への耐性を高め、生産量を増加できる。研究成果を広く応用できれば、世界の食糧不足問題の解決に貢献できるだろう。
余淑美はさらに「台湾のイネ原種と突然変異のデータバンク」を構築し、6万件に上る突然変異のデータを解析していて、その規模は世界3位である。彼女はその貴重な原種データを世界の専門家の使用に公開していて、その成果は日本や韓国をも凌ぐ。

中央研究院分子生物研究所の余淑美の実験室では、遺伝子組み換え穀物の組織を培養している。