麺線、製麺技術の極み
麺線は麺文化の中で最後に発展した。つまり最高峰の製麺技術が凝縮された麺とも言え、その工程と技術は最も複雑だ。
私たちはグアバが豊富に採れる高雄・燕巣にある「潘順龍福州手工麺線」にやってきた。ここで手作り麺線の技を守るのが潘建忠さんだ。家族の反対を押し切ってまで家業を継ごうと決めた訳を、「この技は一度身につければ、その後の道も開けるから」と潘さんは話す。
潘さんは、まず麺を定義する必要があると言う。同店の製品は「福州手工幼麺」と呼ばれ、一般的な麺線とは異なり、幼麺の方がより手間暇をかけた繁雑な製法で作られている。麺線は多くの手順が省かれているそうだが、産業の衰退で細かい違いが気にされなくなったため、それもひっくるめて「麺線」と呼ばれているとのことだ。
夜明け前のまだ暗い3時、潘さんの一日は製麺から始まる。
まずは「こね」だ。小麦粉と塩水を混ぜ合わせ、こねて塊にする。「この工程でも、麺のコシや歯応えが決まるため、最初から力を入れて取り組んでいます」と潘さん。
その後、作業台に生地を運び、麺棒を転がしながら圧力をかけて平らに延ばしていく。
続いての工程は「放り」だ。先に生地を宙に向け回転させながら放り投げ、その生地を今度は手のひらで作業台に力を込めてねじりつけるという2つの動作を行い、麺のコシを高める。首をかしげる私たちに、潘さんはタオルを1枚取り出し、一端を筆者に持たせ、もう一端を自身が持って回転させた。この時タオルは撚り糸のようにねじれ、繊維の密度がより強くなる。つまり「放り」の工程の意味合いはこういうわけだ。
「手作り麺線は一度で完成するものではありません。じっくりと取り組まなければならないんです。一つの動作を10~20回ほど繰り返すこともあります」と潘さんの妹、慧娟さんが語る。この手順は手間も時間もかかり、特に「放り」には30分もかかるという。多くの製麺業者が身に付けていないため省略される手順だが、その分、食感にも違いが出るのだという。
福州幼麺の製造工程は複雑で、今ではあまり使われない台湾語の表現や古い用語を多く使う。昔ながらの製法で麺作りを続けている店は今や片手で数えるほどになってしまった。そのため潘さんは「この撮影で歴史を記録していますね」と言う。潘さんが息子に自宅で学ばせているのも、実践できる人がほとんどいないこうした貴重な無形文化資産を後世に伝えるためなのだ。
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現在においてもなお深夜に起床し麺線を作る人がいることについて、決して簡単なことではなく、評価されるべきだとしみじみ語る陳静宜さん。