瓶に凝縮された、四季折々の台湾風土
ジャムという「ラブレター」は、いったいどのようにして始まったのだろうか。十数年前、北部での生活を終わらせて故郷に戻った柯亜は、イチゴと柑橘のジャムのレシピを手に入れた。簡単だと思ったが、果物‧砂糖‧レモン汁の化学反応を甘く見ていた結果、出来上がったのは、咳止めなどに効くビワシロップのように黒ずんだジャムだった。
この挫折が、かえって柯亜の好奇心に火をつけた。ジャムの奥義を究めようと決意したのだ。過去に編集者として培った経験を生かし、柯亜はジャムを「全知的視点」で探究し始めた。「世界で一番ジャムを理解する人間になる」。それはまるで、大いなる探検に乗り出すかのような宣言だった。
柯亜は果物の品種、風味、文化へと深く分け入り、農産物直売所に足繁く通って生産者と関係を築き、山から海まで産地を訪ねて果実の育つ現場を知った。ジャム作りには、砂糖の奥深い性質と特性を理解することが欠かせない。台湾の砂糖から、日本の上白糖‧三温糖、東南アジアで好まれるココナッツシュガー、ヨーロッパの甜菜糖まで、果物とどう合わせて風味を引き出すか、組み合わせはあまりにも多彩で、数えきれない。さらに、蜂蜜、コーヒー、スパイス、茶、酒など、ジャムに取り入れられる素材はすべて自身の守備範囲だ。基礎を積み上げながら、柯亜は自分だけのフレーバー‧データベースを築き上げていった。
台湾の果物の約9割は生食用で、加工の比率は高くない。だが台湾の強みについて語るとき、柯亜の口調は誇らしげになる。地形と気候、そして優れた農業改良技術によって、「どの季節にもジャムにできる果物がある。それはジャム職人として、この上ない幸福です」と話す。
柯亜にとってのジャムは、「果物が一番良い状態を封じ込め、季節の一番美しい味わいと、自然の風景を味わうためのもの」なのだ。
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アジア西太平洋の小島から生まれた柯亜のジャムは、英国で開催される「世界マーマレードアワード」で受賞を重ね、ヨーロッパの人々に台湾の実力を鮮やかに印象づけた。(柯亜提供)

受賞したフレーバーのジャム。柯亞は台湾の風景や日常をそれぞれの瓶に封じている。
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最初の味わい、口中での広がり、そして後に残る余韻を生み出すための工程は、細やかで複雑だが、その積み重ねこそが柯亜ならではのジャムの個性を形づくっている。
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柯亜特製の四季のジャム‧ギフトボックスには、季節の味わいと自然の風景が詰まっている。
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砂糖と果物の組み合わせを徹底的に研究し、台湾の黄ザラメ、日本の上白糖‧三温糖、東南アジアで好まれるココナッツシュガーなどを使い分け、自身の風味データベースを築き上げた。
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柯亜は台湾の土地の奥深くへと分け入り、果物の奥義を探究してきた。(柯亜提供)
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台湾では一年を通じて、どの季節にもジャムにできる果物がある。これはジャム職人にとりこの上ない幸福だ。