臭いほど旨い:戴記独臭之家
臭豆腐の風味のカギを握るのは「発酵液」である。臭豆腐を製造する店では、それぞれ独自に開発した発酵液を使っており、発酵液の原材料の違いによって風味に違いが出る。現在、食品工業発展研究所では、伝統の手法で自然発酵させた液体の中から優良な発酵菌株を選び出し、さらに現代的な製造管理技術を導入することで、生の臭豆腐の製造工程を標準化し、多くの特許を取得している。しかし一部の老舗では、現代的な製造工程を導入するのではなく、職人の精神で伝統の自然発酵による臭豆腐を生産している。
「戴記独臭之家」も、そうした店のひとつだ。「私たちは大豆を選ぶところから始めます。弟が豆干(水分を抜いた豆腐)を作り、私が菌の培養と発酵を担当しています」と、創業者の呉許碧瑛さんは両親から受け継いだ技術を語る。この一家は1950年代から生の臭豆腐の卸売りを開始し、弟さんは豆干作りを受け継ぎ、呉許碧瑛さんが臭豆腐の名を高めてきた。
1991年、呉許碧瑛さんは臭豆腐のレストランを開き、臭豆腐作りの技術を授けてくれた継父の苗字を取って「戴記」と名付けた。彼女は昔ながらの生きた菌による発酵方法を守り、自ら発酵菌を培養している。一般に多くの店ではさまざまな材料を混ぜて同時に発酵させるが、呉許碧瑛さんは、冬瓜、莧菜(ヒユナ)、ショウガなど十数種の野菜や生薬を個別に発酵させ、それらを、経験に基づいた独自の比率で配合して発酵液を作っているのである。
動物性の食材を含まない発酵液に漬けた豆腐は灰色に変化する。においはするが、鼻を衝くほどではなく、ほんのり青草の香りもする。呉許碧瑛さんは、豆腐の一つひとつを大切に発酵しさせており、発酵液の中から臭豆腐を取り出す時、一つひとつに「お腹いっぱいになった?」と問いかけると言って笑う。一度に全部を取り出すのではなく、手で触れて発酵度合いを確認し、豆腐が菌種を十分に吸収していることを確認してから一つずつ取り出すのである。
一部のレストランで、料理の辛さを数値で表しているように、戴記では臭豆腐を等級分けしている。等級は、菌種の強さ、発酵時間の長さ、温度の高さの三つの要素によって決まる。標準は12級の完全発酵で、看板メニューである揚げ臭豆腐にはこれを用いる。外側はサクサクで中は柔らかく、かじると大豆の香りの中に草の香りが感じられる。これに特製の胡椒塩をつけると、箸が止まらなくなる。
生きた菌で発酵させた手作り臭豆腐が自慢の呉許碧瑛さんが、個人的に一番好きなのは、13級の臭豆腐で作った冷たい和え物だという。低温で再発酵させたこの臭豆腐は臭みは12級より強く、食感はしっとりしていて、特製の海苔フレークと一緒に口に含むと甘味が際立つ。呉許碧瑛さんによると、お客の中には医療関係者も多く、彼らはこの冷たい和え物を好んで食べるそうだ。おいしいだけでなく、生きた発酵菌を摂取すれば胃腸にも良いからである。

「戴記独臭之家」を創業した呉許碧瑛さんは、飲食業は良心が問われる仕事だと考え、天然の食材を使って身体に良い料理を提供している。