空港と港と産業を結ぶ
新しい台中市が国際都市へと躍進するには、観光の他に経済産業面にも力を注がなければならない。
台湾経済研究院副院長の龔;明鑫;によると、台中は日本統治時代に行政の中心と位置づけられた。後背地が狭くて商工業機能が十分ではないため、国民党政権になってからは、中部の重点は中興新村に置かれ、台中市は消費型の都市へと発展した。台中県は機械工業が発達し、それが台中の産業インフラの不足を補うと期待されたが、長年にわたって「一方は消費のみ、一方は製造のみ」という状況が続き、空港と港を持つ優位性も活かされてこなかった。
2003年に中部サイエンスパークが設立されると、初めて台中県と台中市の産業が連結された。光電・液晶パネル産業が地元の機械産業の成長の牽引車となり、集積効果を発揮して県内の中小企業もアップグレードし、そこから台中県・市の境界に位置する地域の不動産価格も上昇して消費も盛んになった。しかし、これらの成果は産業発展に伴うものであり、地方政府の貢献とは言えない。
龔;明鑫;によると、県と市の合併は台中に新たな機会をもたらしたが、そこにはやはり良好な政策が必要だと指摘する。産業基盤の強化や国際的なネットワーク構築が必要なのである。
まず、国際都市には対外連絡と中継の機能がなければならない。現在、台中港から輸入されているのはガソリンや天然ガスなどのエネルギーや原料が中心で、これは現地の産業と関連している。一方、清泉崗空港は旅客機の出国便のみで、ここから入国する便はなく、台中を世界と結ぶこの海と空の港が十分な効果を発揮しているとは言えない。特に清泉崗空港は立地条件が非常に良く(かつては米軍基地として使用された)、後背地も広いのだから、海と空の港の機能と中部の商工業生産とをより緊密に結びつけるべきだろう。
また、中部は大企業の運営本部の誘致を積極的に進める必要がある。県と市が合併するまでは水湳;経済貿易パークが悪くない選択肢だったが、視野を台中一帯に広げて見ると、空港と港から遠い水湳;経済貿易パークより、空港と港と中部サイエンスパークの間に位置する三角地帯の方が魅力的だ。台中と世界を結ぶには、多くの企業をここに誘致することが必要となる。
また、台中には大学が多数あるため、研究開発部門を中部に拡大することも考えられる。
台中エリアの建設と繁栄に期待が集まる一方、環境面も重視して持続可能な発展を追求しなければならず、その点が政府の大きな課題となる。
例えば、大肚山台地にある中部サイエンスパークは台中市の西の県境の荒涼とした僻遠地域にビルを林立させ、ショッピングエリアやホテルもできたが、付近の農地を汚染し、空気や水の質も悪化している。
中部の環境問題に詳しい台湾生態学会顧問の張豊年によると、中部サイエンスパーク第一期、第二期付近では大気のヒ素汚染が発生したことがあるし、廃水が灌漑用水路に流されて稲が駄目になったこともある。同サイエンスパーク第三期の后里周辺では、血液中のダイオキシン濃度が基準値を超える人数が台湾で最も多い。后里では昔から水源汚染が進み、外埔大甲渓の養殖シジミやタニシに奇形が見られるが、業者は売上への影響を心配し、汚染状況は改善されていない。
公権力をもって汚染を調査し防止できるかは地方政府の重要な課題である。

合併によって面積は十数倍になり、市内に空港と港を持つようになった新しい台中市は、これまでとは全く異なる局面を迎え、台湾中部で重要な役割を果たすこととなる。写真は新しい台中市議会。