グループホームでの暮らし
老いてきた知的障害者には専門的なケアが必要だが、台湾は深刻な施設不足で、これが「老老家庭」にとって大きな問題となっている。
今年48歳の瑞瑞さん(仮名)は出生時にダウン症と診断された。30年前に重度知的障害児の教育訓練を主旨とした第一社会福利基金会が設立したばかりの頃、同会で教師による辛抱強い指導を受け、自分の身の回りの世話や一人での登下校を徐々に学び、同会で調理クラスの調理長も務めたこともある。
だが加齢とともに、反射神経や体力が急速に衰え、歩行も安定せずたびたび転ぶようになり、車椅子が必要となった。瑞瑞さんの母が7年前に亡くなった後は80歳になる父親がつきっきりで彼の面倒を見ている。
今年5月、瑞瑞さんは第一基金会が設立した「象山グループホーム」に移り住んだ。昼間は付設の「永愛発展センター」で生活訓練や技能学習をプログラムに参加、午後4時になるとグループホームに戻り、週末だけ父が迎えに来て家に帰る。
早くから児童療育を主に行ってきた第一基金会はケア対象を成人に広げた。老いてきた知的障害者とその家族のニーズに応えるため、そして元の施設が老朽化して狭くバリアフリーなどの設備も整え難いことから、信義路五段に新たな施設を建設すべく何年も前から寄付を募って準備をしてきた。それがデイケアと宿泊を結びつけた「第一家園」で、2009年に完成、運営が始まった。
15歳以上の中、重度、最重度知的障害者は申請して順番を待てば入居できる。日間の発展センターは月1万4700元、グループホームは9800元、世帯収入と障害レベルによって25〜100%の費用免除がある。現在、象山グループホームには18人の知的障害者が暮らし、平均して1名の職員が4名の障害者を指導・ケアする。
台湾では第一基金会のほかに、心路基金会や仁愛啓智センター、徳蘭啓智センターなど、30の社会福祉団体などで同様の「地域居住型」ケアサービスが行われている。
第一基金会の事務局長である頼美智さんによれば、象山グループホームには三つの小家庭があり、それぞれがリビングと2〜3室の寝室を持つ。普段の家庭での暮らしに近い状態で自分の身の回りの世話ができるよう訓練を受け、またプロの教師が一日中ついていることで、家庭らしい温かさと行き届いたケアの両方を受けられるようになっている。
瑞瑞さんのお父さんによれば、先生は瑞瑞さんがベッドから落ちないよう、そばの床に布団を敷いて寝てくれることもあるという。瑞瑞さんは週末家で寝ている時も、寝言で先生の名を呼ぶほどで、その細やかなケアのおかげで、お父さんの負担はずいぶん軽くなっている。
だが、すべてが瑞瑞さんのように幸運なわけではない。ベッド数が需要に追いつかず、すがる思いで順番を待っている親は多い。現在台湾に279ある養護施設では、心身障害者の1割しか収容できない。とりわけ高齢知的障害者にはより多くの医療とケア人員のコストがかかるため、どの施設も受け入れてくれるとは限らない。

夕食後、手分けして食器洗いや片付けを済ませる。グループホームの生活を通して自分で身の周りことをする能力が培われる。