光り輝く脇役
『光華』取材班は屏東県南州郷にある佳辰実業を訪れた。漁期開始で生産ラインは残業続きだ。鮮度を保つため、時間との戦いになる。
佳辰実業はかつて日本輸出用の鰻の蒲焼きを加工していたが、2009年に日本の顧客の委託を受け「生食用」桜エビの加工を始めた。
「生食用の商品は鮮度の管理が重要です」桜エビの9割以上を日本に輸出する佳辰実業の楊雲裕総経理は、競りの段階で混獲物の割合が少なく、十分に新鮮なものを見極めて選ぶことが最も重要だと説明する。工場に運んだ桜エビはまず人の手で選別される。小魚やほかのエビが混じっていないか3人1組で1人ずつ確認をする。3段階のチェックをパスしたエビを、次は海水と同じ濃度の塩水で3回洗浄する。それを急速冷凍したものが「生食用」の桜エビで、醤油やワサビをつけてそのまま食べられる。
佳辰実業の葉瓊瑜部長は、「生食可能」な桜エビは、ほかの新鮮なエビと同じで身が甘く、軍艦巻の寿司ネタになると言う。
塩水を加えて蒸した、つまり「火を通した」桜エビは、日本に輸出されて飲食店やスーパーに流通し、さまざまな料理に用いられる。毎年3月頃からの桜の季節には、桜エビ料理は人気メニューだ。スーパーでは、火を通してあるので解凍すればそのまま食べられる桜エビが売られ、酒の肴にも使われる。
台湾で料理に使われるのは、たいてい干し桜エビだ。4キロの桜エビを干して乾燥させると1キロに減ってしまうが、香りはぐっと増す。チャーハンにどっさり入れたり、茶碗蒸しや卵炒め、大根もちにも加える。または宴席での桜エビ油飯(おこわ)や、西洋料理では桜エビパスタ、おやつなら桜エビとアーモンドのミックスや、桜エビかき氷まである。
料理に味を添えたり飾りに使われる、言わば脇役のこのエビは、小さくて身も少ないが、干した後の市場価格は1キロ約3000元、平均単価に換算するとかなり高価だ。桜エビが台湾と日本の静岡県駿河湾でしか獲れないという希少価値のためである。

大渓漁港でまず混獲物を取り除き、それから工場へ送る。