タケノコ文化
食物繊維が多く、低カロリーで栄養豊富なタケノコは、現在でもしばしば食卓に並ぶ。春分を過ぎると春雨の季節となり、「雨後の筍」と言われるように次々と芽を出す。清明節(春分から15日目)の前後にはヤダケ、続いてケイチク、轎槓竹(Phyllostachys lithophila)、リョクチク、烏殻緑竹、マチク、甜龍竹(Dendrocalamus brandisii)のタケノコが出回り、旧暦10月以降になると「冬筍」と呼ばれるモウソウチクのタケノコの季節となる。
「どのタケノコも食べられますが、上手に処理しなければおいしくなりません」と呂錦明は言う。流水に半日ほどさらしてから乾かし、袋に詰めて冷蔵しておけば、肉と炒めたり、スープに入れたりできる。
老泉社区発展協会理事長の周良銓はリョクチクタケノコの調理方法を教えてくれた。皮が付いたままのタケノコを鍋に入れて水をひたひたに注ぎ、強火で沸騰させてから弱火にして30分煮て、ふたをしたまま30分蒸らす。それを冷ませばタケノコのサラダにでき、さらに冷蔵保存することもできる。
台湾には豊富なタケノコ料理がある。曾聡堯によると、台湾ではタケノコは野菜とされ、干物にしたり、漬け込んだり、マチクの葉で竹葉青酒を作ったり、チマキを包んだりする。また原住民族はケイチクの稈に米を詰めて竹筒飯を作る。米が竹の香りを吸収し、旨味が際立つ。
蓮華池研究センターの職員食堂の料理人はさまざまなタケノコを用いて料理を作る。リョクチクのタケノコは茹でて冷やせば甘みのあるサラダになり、マチクのタケノコはスペアリブと一緒にスープにする。このほかに、魯肉飯などにはタケノコと高菜の炒め物が添えられ、最近になって栽培されるようになった甜龍竹のタケノコはキクラゲや豚肉とともに炒める。春節や祝い事には豚バラの塊肉とメンマの煮物が出され、竹山名産のタケノコ入り卵焼きも人気がある。
消費者のニーズに応えて、タケノコ農家二代目の李星辰さんは防腐剤を使わない真空加工技術を開発した。パックを開ければそのまま食べられるリョクチクのタケノコのブランド「日茂竹筍」を打ち立てて、北米の中華系市場に向けて輸出している。
「冬筍」は量が少ないため、経済的価値が最も高い。南投県の竹山や鹿谷は冬筍の産地として知られており、台湾でも数少ないタケノコ専用市場が設けられている。中でも鹿谷のタケノコ市場は冬筍のために設けられており、その人気ぶりがわかるというものだ。
竹山鎮は台湾でも竹産業が最も盛んな地域であり、竹林に覆われていることから竹山鎮と名付けられたほどだ。竹細工の職人も多く、この地域特有のタケノコ文化が育まれてきた。
旧正月にはどの家庭でも海の幸、山の幸のご馳走が並ぶが、竹山では「山の幸」と言えば冬筍である。「竹山では、冬筍の煮物や冬筍魷魚蒜(冬筍とスルメイカと葉ニンニクのスープ)がなければ年越しになりません」と話すのは林業試験所森林利用組研究員で竹山出身の林裕仁だ。また、竹山の各家庭で作られる「醤筍」はマチクのタケノコを一口大に切り、塩と豆麹と甘草などで漬けこんだもので、まったく繊維質を感じさせないほど柔らかく、ご飯のお供になる。
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タケノコ農家の周良富さん。夏に旬を迎えるリョクチクのタケノコは梨のように柔らかくて甘みがあると語る。