治療のために食性を知れ
台湾にはケガを負ったウミガメの保護センターが7か所あり、澎湖の水産試験所に次ぐ規模の収容能力を持つ国立海洋生物博物館は、保護だけでなく、台湾におけるウミガメ研究においても重要な場所となっている。
数値が書き込まれた表を見ながら、スタッフが小ぶりのヤリイカ、バナメイエビ、カニ、殻付きのカキなどを注意深く秤にのせている。保護されたウミガメたちの「特別食」を作っているのだ。その後、ピルケースを開けて錠剤を取り出し、それらの餌の中に押し込む。先ほどの表をよく見ると、どの個体がどんな餌を食べるのかが赤ペンで注記してあるのがわかった。
国立海洋生物博物館の研究補佐員である李宗賢によると、保護センターのウミガメが摂取する餌の重量と品目はすべてその個体の体調に合わせて決められ、与える薬品と栄養補助食品も調整されているという。もし傷の状況が深刻な場合はタンパク質をより多く与え、回復中期・後期ではさらに個々の状態に応じて調整する。
藻類を主食とするアオウミガメを例に挙げると、アオウミガメはタンパク質である肉があれば、肉を優先して食べるが、ふだんはイシゲの仲間やアオサなどの藻類を食べており、海に戻す時期が来たら、その習性に合わせて獣医師たちは藻類中心の餌を与え始めるそうだ。
餌の準備ができたら、食べさせる作業もまた重要だ。届く深さを変えながら餌をプールの中に投げ入れ、ウミガメの潜水状態を観察するのだ。肉だけ食べて、薬を飲まない個体がいたら詳細を記録し、獣医師によって薬を換えてもらい、好き嫌いがある個体がいれば、ほかの餌を与えるよう注意する必要がある。どれも個々のウミガメに合わせてカスタマイズされた特別食で、すべては傷ついたウミガメを一日も早く海に戻すためだ。
自分が保護センターのメンバーとして最初に直面したのは、餌を食べようとせず、一日中水に浮かんでいるウミガメだったと、李宗賢は笑顔で語った。我慢強くさまざまな方法を試した結果、ついに口を開けてくれたそうで、餌を食べ始めると急速に回復し、翌年海に帰されたという。
病気のせいで水から離された個体は、餌の摂取も、運動もできなくなり、新陳代謝が極端に悪くなって、薬の吸収効率が低下するという負のサイクルに陥ってしまい、いつになったら回復するのか、10年以上の経験を持つベテランの李宗賢にすらわからないそうだ。
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保護センターに運び込まれたすべてのウミガメに対して、獣医師による入念な検査が行われる。(国立海洋生物博物館提供)