台北のホットスポット
カクテル市場の変化は激しく、3~5年で大きな変革を迎える。しかし、技法や素材は壁に直面しており、西洋料理からアイディアを得た液体窒素や真空調理、エスプーマ(泡)、クラリフィケーションなどなどの技術も、消費者にとって新鮮なものではなくなった。コロナ禍以降は、店は基本的な飲食サービスのレベルを維持しなければならなくなった。「それに、明確なコンセプトと付加価値を打ち出せなければ、消費者を引き付けることはできません」と劉奎麟さんは言う。
オンラインで台湾のバー情報を提供している「PaperPlane」は業界でも権威がある。これを創設した涂立青さんは、台北で注目されるいくつかのバーを例に挙げる。午後から営業を開始するLiowl、午前4時まで営業するPublic House、原住民族スタイルの三藩市Some Fun、夜市のB級グルメをカクテルに取り入れたBar Pine松、茶を用いたカクテルで知られるtei by O'BOND、ノンアルコールのカクテルを出す一時無酉などが、最近では話題に上っているという。
涂立青さんはまた、台北市内でバーが集中しているいくつかのエリアの、それぞれの特色の違いも説明してくれた。
デパートや映画館があるエリアの松寿路一帯には20軒余りのバーが集中していて、若い世代が大勢集まってくる。中でも有名なFake SoberやSleep No Moreではビールをベースとしたカクテルを出している。若者が三々五々自由に集まり、道端で立ったまま飲んでいる様子は、香港の蘭桂坊を思わせる。
よりレベルの高いドリンクや料理、雰囲気を味わいたいのなら、東区のMRT信義安和駅や六張犂駅の周辺へ行ってみよう。東区の指標となる店と言えばアジアのベストバー50に7回も選ばれているIndulge Bistroを忘れてはならない。また、信義安和駅一帯で最も有名なのはPublic House、そしていつも満席の無WUなどである。
六張犂の一帯へと広まったホットスポットにはPublic House二号店のFutura by TPH、Mad:men、銀波Silver Liningなどの名店がある。
バーは千差万別だが、涂立青さんは選び方の基本があると言う。夕方からはしごを始めたいなら、まず料理が食べられる店から始め、2軒目には自分が興味を持った店を自由に選び、3軒目は遅くまで営業している店に行くというものだ。
台北でほろ酔い気分を味わいたい時、選択肢はいくらでもあり、むしろ夜が短すぎると感じるのではないだろうか。

Speakeasyを感じさせるスタイルの「氷箱(冷蔵庫)」。まさに隠れ家のような店だ。

「氷箱」は内装もバーテンダーの服装もレトロな雰囲気を醸し出しており、料理もおいしい。

王霊安さんが経営するTrio。カクテルはおいしく、料理もボリュームがある。1階はポリネシアスタイルをテーマとしている。

「アジアのベストバー50」に幾度も入選しているIndulge Bistroは世界に知られている。

映画館に近い松寿路は若者に人気のバーのホットスポットで、夜が更けるほどにぎやかになる。

「條通」では、お客が店を選ぶのではなく、店側がお客を選ぶと言われる。

條通の多くの店では日本流の酒文化を受け継いでいて、生ビールやハイボール、サワーなども楽しめる。

日本風のバーや居酒屋が建ち並ぶ條通。瞬時に日本に来たかのような錯覚に陥る。

條通のバーのジャンルはさまざまだ。ドラマ「華灯初上」の舞台となった「名度」はカラオケバーである。

李政道さんは、條通を最もよく知る台湾人と呼ばれている。

どの店にも自慢の料理がある。写真は「よりみち」のナポリタンとハンバーグ。

創業40年になる「藤」は條通でも老舗中の老舗で、今も営業を続けている。