URS:実験的都市行動
昔から、建設会社が能動的に芸術文化活動に出資することは少なくなかったが、その多くは特定の地域を対象としてきた。例えば十数年前には、台鼎建設の白錫旼;・前董事長が台中市大度山に「理想国」を作り、近年は遠雄建設が台北県三峡の「北大特区」で芸術による街づくりを推進している。忠泰グループのように、各地で芸術文化活動を行なっているのは、近年再開発に積極的な立偕建設だ(41ページの記事を参照)。
一方、2010年初から台北市都市発展局も「任務型」「移動可能型」の「都市再生前進基地」プランを打ち出し、これをアーバン・リジェネレーション・ステーション(URS)と名付けた。URSは「あなたたちの/皆の」と同じ発音だ。
台北市の都市更新処は、これはソフトな再開発で、漢方の鍼灸のように都市の「気」を通じさせるものだとしている。放置されている公有地を探し、国有財産局や鉄路局などの管轄部門と2〜3年のフレキシブルな使用期間を定め、その間の利用方法を民間の公益団体から募るというものだ。
最初のURSは4ヶ所で行なわれた。MRT中山駅付近の元公売局酒煙草販売所、華山特区内の元華山貨物駅と鉄道施設、南港旧市街地にある1.6ヘクタールの元公売局の瓶蓋工場、それに、容積移転を経て地主が市の都市更新処に寄贈した迪化街127号の商店兼住居だ。迪化街の物件は唯一市が所有する永久拠点で、淡江大学建築学科が、何の補助も受けない状態での運営を請け負った。展覧会と建築学科卒業生の起業のためのスペースとしている。
都市更新処企画科の徐燕興科長によると、URSの目的は「地元のネットワークを統合し、創意を誘発し、地域を活性化する」というものだ。
例えば4150平米の元公売局「中山販売所」には戦後初期の倉庫建築があり、立地も良いため「都市創意産業育成基地」とする予定だ。だが、この土地は長年放置されて荒れ地と化しており、地元の里長は早く撤去して新しいビルを建てることを要求した。そうすれば周辺の不動産価格も上昇するからだ。
しかし、都市更新処が内外から専門家や学生を招いてワークショップなどを開いたところ、それが地域のネットワークと結び付いた。取壊しを主張していた里長も、若者たちが徹夜で図面を引き、産業復興を話し合っているのを見て、異なるビジョンを持ち始めたと言う。

(左)フィンランドのオルターナティブ建築家グループ、カサグランデ・ラボラトリーは、忠泰グループの所有する万華の放置された建て物で「有機廃墟」の理想を実現し、台北の都会の隙間で野菜を栽培する園芸家にも敬意を表した。(中央・右)台北市が淡江大学建築学科に運営を任せている迪化街の「127公店」。1階は展覧空間、2回は若い建築家やデザイナーを育成する場で、将来的には迪化街の町づくりにも参加する可能性がある。