シックビル症候群
台北にはカーテンウォールのビルが並んでいるが、これらも「省エネ」と「健康」という指標において不合格である。
「台湾ではガラス張りのビルが流行していますが、これは高温多湿の台湾の気候には適していません」と林憲徳教授は指摘する。ガラスには温室効果があり、太陽放射は屋内に入りやすいが、室内の長波放射は屋外へ出て行きにくい。カーテンウォールは温帯気候に適した建築スタイルで、亜熱帯では逆に冷房の使用を増やす原因となる。
太陽放射の吸収を減らすために一部のビルでは窓に反射ガラスを使用しているが、これもまた「反射光公害」をもたらす。ガラスが反射する光が運転手の目を刺激し、交通事故の原因となるのである。エネルギー消費の多いカーテンウォール建築において、窓が開かない全室空調の設計にすると、健康にも害を及ぼす。
1970年代以降、欧米で注目され始めた「シックビル症候群」は、ビル内部の空気の質の悪さが引き起こすものだ。のどの乾燥、目や鼻のアレルギー、頭痛、疲労、咳、皮膚のかゆみなどの症状があり、ビルから出たり、週末など出勤しない時には症状が軽くなる。
成功大学建築研究所の調査によると、調査対象者の4割がこのような症状を訴えており、オフィスの3割は空気の質が良くない。二酸化炭素や空中の微生物、有害物質などの濃度はアメリカや日本の基準を上回っている。
観光客が訪れる台北市の中正紀念堂も、グリーン建築の「生物多様性」という指標で不合格とされる。広い面積に芝生が植えられているが、傍らにはきれいに枝葉を刈られた樹木が並び、芝生は他の昆虫と共生できず、樹木は鳥の棲み処にならない。さらに多くの人手を使って樹木を手入れしなければならず、水を浪費し、汚染を出し、生物の生息を脅かす。
林憲徳教授は日本の公園を例に挙げる。日本の多くの公園は喬木や潅木を混ぜた密林方式で、落葉もそのままにしている。ドイツのケルン市役所前の広場や地下鉄駅入口には、美しくないが昆虫やミミズが好む茨が植えられている。開発と同時に環境に生物連鎖を保つことで、小さな生き物が生存でき、生態破壊を食い止められるのである。近年、高雄市のあるマンションでもこうした考えを取り入れている。