選ばれた台湾
漁業から鯨類調査、海洋保全まで、廖鴻基さんは30年以上にわたって東部海域に根を下ろして活動してきた。「私にとって、この海域は今も魅力に満ちていて、海に出るたびに生まれて初めての風景に出会うことを期待できます」と言う。そして確かに、この2年は幾度も驚くような経験をしたと言う。昨年は珍しいカズハゴンドウとシワハイルカ、それにマッコウクジラの母子を見ることができた。「マッコウクジラの子供の体長は3~4メートルほどで身体にはまだシワがあり、生まれて間もないことが見て取れました」という。
「これはマッコウクジラが花蓮の海域で出産していることを意味します」と語る廖鴻基さんによると、これほど大型の動物が出産や育児の場所を適当に決めることはないそうだ。水温が適正で水質が良く、人間からの干渉がなく、出産や子育てに安全な場所だと確認して場所を選ぶのである。また、「これらの動物は定期的に出生地に戻ってくる習性があるので、これからも毎年台湾に戻ってくるでしょう」と言う。
昨年は、マッコウクジラが集まって休息をとる様子も見ることができた。「私たちが群れのリーダーに追いついた時、リーダーは『私を中心に、全員集まれ』と号令をかけたようで、周囲2~3キロにいたクジラの家族が彼の方に集まってきました。そしてすべてのクジラが身体を縦にして頭を水面に出し、それから潜っていったのです。まるで会議を開いているかのようでした。それは船のすぐそばで行なわれましたが、おそらく短時間の睡眠をとっのだと思われます。10~20頭のマッコウクジラが同時に現われるシーンはまさに衝撃的でした」と言う。
私たちはその映像を見たわけではないが、その描写を聴くだけで感動し、興奮する。「彼らはおそらく、ここが出産と育児、そして休息にふさわしい海域だと判断したのでしょう。台湾は彼らに選ばれたのです」と廖さんは言う。
海に出ても、必ずクジラやイルカに会えるとは限らない。しかし廖さんはいつも「海に予約はできませんが、期待する価値はあります」と語り、このような風景を海を愛する人々と共有したいと思っているのだ。
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専門家が水中マイクを持って海に潜り、クジラの出す音を収録する。(游原煥撮影)
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斧のような分厚い背びれがコビレゴンドウの特徴だ。(游原煥撮影)
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花蓮の海域では非常に珍しいシワハイルカ。(蘇聖傑撮影)
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ハナゴンドウは台湾の海域でよく見られる鯨類のひとつ。日常的に何かにぶつかってできた傷が、全身に白い痕になって残っている。(林旻萱撮影)
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マッコウクジラを探す際には「潮吹き」が目印になる。(何姿楽撮影)
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カズハゴンドウの華語名「瓜頭鯨」は頭の形から来ている。(游原煥撮影)
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全身真っ黒なオキゴンドウは、台湾東部の海域では昔からよく観察されている。(游原煥撮影)
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ホエールウォッチングは海に暮らす隣人を訪ねるようなものだ。無事に暮らしているかどうか関心を寄せることで、自ずと海洋保全の意識も生まれてくる。(趙浩宇撮影)