国産大豆の「大人物」
農業を専攻した陳建瑋さんは、11年前に帰郷して「保証責任台中市大人物農産運銷合作社(Big Man、以下「大人物」)を創設した。当時、台中市は若い農家の大豆契約生産を奨励しており、若い人々の力を借りて国産大豆を増やそうと考えていた。「この合作社は『生産』と『販売』の橋渡しをする役割を果たしています」と陳建瑋さんは言う。台湾の大部分の農家の規模は小さく、生産量も限られているため、合作社が各農家が生産する大豆をまとめ、購入する意向のある企業と交渉する。バイヤーに良い値で買ってもらうには、逆に言えば、生産農家の条件と規格が買い手の要求にかなっていなければならない。
始めた頃は農家との交渉経験もなく、苦労ばかりだった。しかし彼は若い農家の強みを活かし、生産管理にビッグデータを導入、農業用ドローンを用いて管理コストを削減した。2025年、「大人物」が契約する大豆作付面積は360ヘクタールになり、契約農家は900軒に達する。昨年の収穫は計473トンだった。
「この産業のネックは販売ルートです。収穫した作物を売らなければなりませんから」と話す彼は、当時を思い出す。その頃は遺伝子組み換えではない国産大豆の価格は、同じく遺伝子組み換えではない輸入物の3倍もし、国産大豆の使用には原価を考慮せざるを得ない状況だった。
そこで陳建瑋さんは豆乳から着手した。「豆乳は国民が最も多く飲用するタンパク質飲料です」と言う。加えて、農糧署は学校給食に台湾での生産履歴をトレースできる食材を使用するよう奨励しており、国産豆乳の学校への導入において「大人物」は指導企業の一つとなり、道が開けてきた。「これによって安定したニーズが大豆産業を支え、また国産豆乳が子供たちの共通の記憶となればと考えています」と語る。
最近は、市場にも大人物(Big Man)ブランドの豆乳が出回るようになり、無印良品やファミリーマート、モスバーガーなどとともに生産履歴が確認できる豆乳を打ち出し、知名度が大いに高まった。今年もさらに学校給食での提供を推進していくという。「大人物」の契約農家は台中、彰化、雲林に多いが、他に屏東や花蓮、桃園でも農家や企業がそれぞれ国産大豆の生産に取り組んでいる。
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農業改良場では、気候変動やダイズうどん粉病に強く、台湾の環境に合った品種を選別し、育てている。(台南区農業改良場農芸研究室提供)