春節が近づくと、年越しにどこで何を食べるかを考えなければならない。
近年は核家族や単身家庭、共働き家庭が増え、食材の準備や調理の手間を省くために、大晦日の食事はレストランで、あるいは出来合いの料理を買ってきて、という人が増えている。今では、テイクアウトやお取り寄せの正月料理の市場規模は20億台湾ドルに達する。
だが、この2年ほど、台湾では食の安全を脅かす事件が相次いで報じられ、安心で健康的な食をどう確保するかが大きな話題となっている。
今年から正月料理市場に参入した革靴ブランドの阿痩実業は、テレビで活躍する料理家の詹姆士(ジェームス)をイメージキャラクター兼技術指導に招き、数量限定で「健康堅果元蹄(豚もも肉のナッツ風味)」と「珍饌仏跳牆」という手の込んだ料理を打ち出し、化学調味料を使わないというヘルシー路線を強調している。
毎年「FDA優良調理師」を選出している政府衛生福利部食品薬物管理署では、今年は「手作り」「食材本来の味」「ヘルシー」をテーマに、3人の優良調理師に18品のヘルシーな正月料理の創作を依頼し、国民の参考に供している。これらのレシピに従って調理すれば、健康的で安全・安心な料月料理を作ることができる。
今月号では、この3人のFDA優良シェフ――蕭冠之、曾志昌、彭志強に、食材を生かした正月料理の創意と工夫についてお話をうかがい、実際の調理手順やコツを教えていただいた。シェフの指導に従って安心・安全な食卓を囲み、ヘルシーな正月を迎えようではないか。
春節の大晦日に欠かせない料理とは何だろう。正月料理と聞いてどのようなイメージを抱くだろうか。毎年同じような料理ばかりで代わり映えしないと感じていないだろうか。今年は、例年とは少し違う料理を作ってみてはどうだろう。
正月料理には縁起担ぎの意味が込められている。「起業」を意味する丸鶏、「余裕」を意味するマナガツオ、「吉兆」を意味する大根、「長く久しく」を意味するカラシナ、「お金」を意味する餃子など、どれも縁起物ばかりで正月らしいが、新味に欠け、油っこくて胃にもたれるという不満もある。例えば「仏跳牆(多数の高級食材を煮込んだスープ)」の場合、多くの食材は一度揚げてから煮るため、2300グラムで3000キロカロリーになる。政府国民健康署の調査によると、伝統的な正月料理を毎日食べ続けた場合、6日間で平均2.1キロも太ることになり、台北から台南までウォーキングをしなければ体型を取り戻すことはできないという。
では、肉料理や魚料理ばかり食べて健康を害し、体重を増やしてしまわないようにするには、どうすればいいのだろうか。
著名シェフが考案したレシピを参考にすれば、手軽に健康的な正月料理ができる。

曾志昌シェフ
徳霖技術学院の蕭冠之・助教は省エネと栄養と味覚を兼ね備えた「緑の宴席」を考案した。
「方法と器具を工夫すれば環境にやさしい調理ができます」と蕭冠之は言う。火力を強くすればエネルギーの浪費になり、油は変質しやすく身体に良くない。
これらの問題は圧力鍋で解決できる。例えば、丸鶏のスープは普通の鍋なら30分は火にかけなければならないが、圧力鍋なら10数分でできる。
正月料理には鶏が欠かせない。蕭冠之が提案する「養生百蕈燉烏鶏(烏骨鶏のキノコスープ)」のレシピは次の通り。まず烏骨鶏を湯通ししてアクを取り、ヤマブシタケやエリンギ、ヒラタケ、シメジなどのキノコの他、ニンニク、ナツメ、クコの実、ハマグリなどを入れて火にかける。沸騰したら弱火にして15分、圧力鍋の圧力が抜けたら塩と酒で味を調える。蕭冠之は、圧力鍋を使えば時間と光熱費が節約でき、鶏やキノコ類の香りや旨味がそのまま残るという。烏骨鶏を使うのは、気を養い、免疫力を高められるからだ。
「喜迎新春開門紅」は見た目も美しい料理で、驚くほど簡単にできる。
まずレンギョの頭を洗って器に置き、さっとゆでて皮をむいたパプリカを周りに並べる。その上にトウガラシ、ショウガ、ニンニクを炒めて載せ、さらに剥椒醤(トウガラシペースト)、豆腐乳、酒、砂糖、酢、水を沸騰させたものを回しかけ、15分蒸すだけだ。
さらに、正月にはどの家も欠かせない「金牌御品仏跳牆(高級食材のスープ)」「鴻運烏参燴鮮菇(ナマコとキノコの煮物)」「花開富貴蕊三菇(野菜とキノコの盛り合わせ)」なども非常に簡単にできる。
蕭冠之は、干しナマコは戻したものを買わず、自分で戻すよう勧める。干しナマコは冷たい水に浸し、朝晩水を替え、常温でこれを3日間繰り返せば、歯ごたえよく戻せるそうだ。また、仏跳牆に欠かせない骨付き豚肉は、揚げるのではなく、ソテーしてから熱湯をかけて油を切れば、よりヘルシーになる。
「料理は味がしっかりしていなければ」と話す蕭冠之は、健康的で環境にもやさしい調理方法では、食材の水分を失わせず、本来の味を生かすことが重要だと語る。

政府衛生福利部食品薬物管理署は「食材本来の味、ヘルシーな手作り」をテーマにシェフのレシピを提供し、手作りの正月料理を推奨している。
基隆経国管理・健康学院調理学科の助教でシェフの曾志昌が打ち出すメニューは、福菜蒸海鱸魚(スズキの漬物蒸し)、涼拌果酢双耳(キクラゲの酢の物)、桜花蝦野菇拌飯(サクラエビとキノコの混ぜご飯)、豉汁粉蒸子排(スペアリブのトウチ蒸し)、水梨養生鶏湯(梨入り鶏スープ)、瑶柱北菇扒時蔬(野菜とシイタケの貝柱風味)。どの料理も揚げたり炒めたりするのではなく、油を使わずに蒸したり和えたりしたものである。華やかさは追求せず、ヘルシーかつ低炭素の調理を重んじ、普段はあまり料理をしない人でも簡単に作れるレシピである。
福菜蒸海鱸魚(スズキの漬物蒸し)は食材も作り方も簡単だ。用意する食材はスズキを一尾、客家福菜(カラシナの漬物)、日本の葛きり、香菜、米酒、塩、砂糖、ナンプラー、ごま油、ネギ、ショウガ、ニンニク、トウガラシなど。
さっと熱湯をくぐらせたスズキを器に置き、それ以外の材料を刻んだものを載せて8分蒸す。そして完成の3分前に葛きりを添えるだけだ。漬物の酸味が魚に染み込み、葛きりが魚のスープを吸っておいしい。葛きりを使うのは、カロリーが低く、煮崩れしにくいからだという。この料理のポイントは強火で蒸すことだと曾志昌は説明する。魚が硬くならないよう、沸騰した蒸し器に入れて8分蒸せばよい。
豉汁粉蒸子排(スペアリブのトウチ蒸し)も炒める工程はない。下味をつけたスペアリブに片栗粉をまぶし、シソ梅とエシャロット、ニンニク、トウチとともに強火で15分蒸せば完成。茹でたブロッコリーやチンゲンサイとともに盛り付ければ見た目も美しい。
水梨養生鶏湯(梨入り鶏スープ)は宜蘭県三星の梨を入れた鶏のスープだ。曾志昌は、買ってきた梨が甘くなかった時、捨てるのは惜しいと思ったことから考え付いたレシピだという。
鶏を湯通ししてアクを取り、クコの実、ナツメ、アメリカニンジンなどの生薬と薄切りの梨を入れ、電気釜で1時間半加熱し、塩少々と酒で味を調える。「梨のポリフェノールとアルファヒドロキシ酸がスープに甘味を加えます」と言う。
春節に白いご飯では味気ないし、かといっておこわでは油がきついという人は、簡単で見栄えもする桜花蝦野菇拌飯(サクラエビとキノコの混ぜご飯)はいかがだろう。
キノコ類は切って炙り、オリーブオイルをかけておく。サクラエビを煎り、錦糸卵を作る。白いご飯に振りかけとキノコ、日本の薄口しょうゆをまぶし、サクラエビと錦糸卵を載せて蒸せば、香り高く、油も少ないヘルシーなご飯ができる。
この他に、黒いキクラゲと白キクラゲを茹でて氷で冷やした涼拌果酢双耳(キクラゲの酢の物)、茹でたシイタケと野菜を和えた瑶柱北菇扒時蔬(野菜とシイタケの貝柱風味)も簡単な創作正月料理で、レシピ通りに作れば失敗しない。

政府衛生福利部食品薬物管理署は「食材本来の味、ヘルシーな手作り」をテーマにシェフのレシピを提供し、手作りの正月料理を推奨している。
中華料理に飽きてしまったら、玄奘大学餐旅管理学科の助教、彭志強シェフが提案する西洋風の正月料理を作ってみよう。
「花蓮有機丹参花椒玉米鶏」は、玉米鶏(トウモロコシの餌で育った鶏)とアミガサタケを使ったスープだ。玉米鶏は甘味のある出汁が取れ、アミガサタケはナッツのような香りがし、スープのうまみが増す。
料理名は長いが、作り方はいたって簡単だ。まずアミガサタケを水で戻し、玉米鶏をさっと下茹でしてから、ショウガ、ナツメ(肺を潤す)、クコの実(風味を増す)を加えてとろ火で1時間ほど煮れば完成する。
阿爾薩斯燉肉鍋(アルザス風シチュー)は、残り物を煮込んだフレンチのシチューである。
ニンニクを炒めて香りを出したところへ、トマトとケチャップを加えて炒め、水とスープを加え、羊の膝肉や豚足、ソーセージ、戻した豆(ヒヨコマメ、バタービーンズ、赤インゲンマメなど)を加えて煮込み、仕上げに茹でたブロッコリーを添えるだけだ。
「新鮮香煎大明蝦」(クルマエビの香り焼き)は見た目は西洋風の中華料理と言える。
クルマエビは洗って背わたを取り、塩・コショウを振っておく。それをフライパンで焼きつけたところへオリーブオイルとニンニク、タマネギ、トウガラシ、バジル、パセリなどを加えて炒め合わせれば完成である。
彭志強は西洋風の正月料理を考案したが、シンプルで作りやすいよう配慮したレシピとなっている。彼は鍋の焦げ付きをなくすためのコツも教えてくれた。鍋を火にかけて、鍋の毛穴が開いたところへ油を入れて火を止める。こうして鍋に油を吸わせてから食材を入れて火をつければ、油が撥ねることも、焦げ付くこともない。ぜひ試してみたいものだ。

政府衛生福利部食品薬物管理署は「食材本来の味、ヘルシーな手作り」をテーマにシェフのレシピを提供し、手作りの正月料理を推奨している。
どうしても楽をしたいというのなら、何品か出来合いの料理を買ってきてもいいだろう。高級ホテルやレストランからコンビニまで、さまざまな正月料理を販売している。今年は、革靴メーカーの阿痩実業も正月料理市場に参入し、「健康幸福年菜」を打ち出した。
阿痩グループ広報担当の方興国によると、阿痩革靴の会員は100万人、店舗は全国に200もあり、サービス業としての十分な基礎がある。
阿痩は毎年100万足以上を売り上げているが、履き心地が良くて身体にやさしい靴を販売していても、1~2年で履き替えることはない。それに比べると、食は毎日の生活に欠かせないものなので、「ヘルシーライフ」をコンセプトに、マッサージ器や健康食品、各地特産の果物などを既存の販売網に導入してきた。
2014年、阿痩実業はテレビで人気の料理人・詹姆士(ジェームス)をイメージキャラクターに招いた。「彼は料理の達人であるとともに、健康的な食を追求していますから」と方興国は言う。食の安全を脅かす事件が続く中、阿痩実業は詹姆士にレシピの研究開発を依頼し、「珍饌仏跳牆」と「健康堅果元蹄(豚もも肉のナッツ風味)」というヘルシーな正月料理を二つ打ち出した。仏跳牆は、脂肪の少ない鶏ガラと豚足とナマコで出汁を取ったスープでアワビや貝柱、蹄筋(すじ)を煮込んだものだ。健康堅果元蹄は豚もも肉に独自のナッツペーストを合わせてあり、これまでにはない味わいを楽しめる。
初めて正月料理を打ち出した阿痩実業だが、売上は好調だ。方興国によると、12月初旬に販売を開始してわずか1カ月で1200セットの注文が入った。正式に販売を開始する前に3回の試食会を開き、好評だったという。レシピを担当した詹姆士は、これらの料理に何か「一味」足りないと感じたとしたら、それは化学調味料が入っていないからだと言う。
春節には正月料理が欠かせない。安心で健康的な食事であれば、手作りであろうと出来合いのものであろうと構わない。家族そろって食卓を囲めば、どれもおいしい御馳走である。

彭志強シェフ

政府衛生福利部食品薬物管理署は「食材本来の味、ヘルシーな手作り」をテーマにシェフのレシピを提供し、手作りの正月料理を推奨している。

政府衛生福利部食品薬物管理署は「食材本来の味、ヘルシーな手作り」をテーマにシェフのレシピを提供し、手作りの正月料理を推奨している。

緑の宴の「喜迎新春開紅門」はシンプルでおいしく、おめでたい魚料理。

彩りも美しい豉汁粉蒸子排(スペアリブのトウチ蒸し)。

政府衛生福利部食品薬物管理署は「食材本来の味、ヘルシーな手作り」をテーマにシェフのレシピを提供し、手作りの正月料理を推奨している。

政府衛生福利部食品薬物管理署は「食材本来の味、ヘルシーな手作り」をテーマにシェフのレシピを提供し、手作りの正月料理を推奨している。

政府衛生福利部食品薬物管理署は「食材本来の味、ヘルシーな手作り」をテーマにシェフのレシピを提供し、手作りの正月料理を推奨している。

蕭冠之シェフ