官民協力で玉山へ続く道を
2006年に開かれた公聴会は、当時台南市選出の立法委員(国会議員)だった頼清徳・現副総統の賛同を得た。その結果、各機関の話し合いが進められ、嘉南大圳の堤防に沿って並木道が作られることになった。
2010年に台南県市の合併で権限が台南市に一括された後、緑道はさらに延長されて全長45キロの「台南山海圳緑道」が作られた。これが「台湾山海圳緑道」の前身となる。
2016年には海佃小や社区大学台江分校が台江から玉山国家公園へと続くルートの調査を開始し、国に対し「台湾山海圳緑道」建設を呼びかけた。2017年には国家発展委員会が「緑道網建設方策」計画を発表。それに沿って林務局(現在の林業及自然保育署)が計画を進め、ついに2018年「山海圳国家緑道」が完成した。台江国家公園から始まり、嘉南大圳に沿って烏山頭ダムまで遡った後、曽文渓に沿って阿里山を過ぎ、標高3952メートルの玉山に達するルートだ。
民間による取り組みはすでに長年にわたる。2006年には「千里歩道協会」によって安全なウォーキングとサイクリングのできる緑道網の設置が呼びかけられていたし、同協会の役員たちが熱心に環境保護を呼びかける姿はあちこちで見受けられた。政府では、当時の国家発展委員会の曽旭正・副主任委員や陳美玲・主任委員が国家緑道の重要な推進者となった。環境保護のためのそれぞれの歩みが、ある時点で交差したのだ。
「台南市、嘉義県、国家発展委員会、河川局、南区水資源局、農田水利署、林務局など政府機関の協力のもと、地域やNGOが力を合わせました。これはパブリックガバナンスの発展における重要な事例です」と呉茂成さんは言う。
全長177キロの緑道は台湾400年の歴史の縮図でもある。台江、シラヤ族、ツォウ族のエスニック文化圏をつなぎ、5種の気候帯の樹林と4種の水域環境を含む多様な自然生態系を持つのだ。