文化財の修復は、美術、歴史、科学などさまざまな専門分野を融合したもので、長年蓄積されてきた技術だけでなく、強い精神力と忍耐力が求められる仕事でもある。
今月号の『光華』では、古琴製造・修復の大家である林立正に、長年の経験を語っていただくとともに、その修復技術を見せていただいた。また紙文化財の保存に力を尽くす呉哲叡には、その人生を振り返っていただいた。さらに、ヨーロッパで経験を積んだ若き修復師の范定甫と頼志豪には、海外で学んだ文物保存の精神をいかに台湾で活かすべきかをうかがった。
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台湾の産業イノベーションが進んでいる。世界的なインダストリー4.0の流れに乗り、政府は「5+2産業イノベーション計画」を打ち出した。スマート機械産業は、その中の重点項目のひとつである。航空宇宙産業から産学協力まで、産業の転換とグレードアップが今後の台湾発展の力となる。
例えば、台湾初のEVスーパーカーMiss R。1341馬力のこの車は、台湾製造業の「多品種少量、高品質、フレキシビリティ」という優位性を活かして製造される。そこにさらに董陽'٦の書のイメージを加えることでスーパーカーと芸術を融合させた。
同じく台湾が世界に誇るのは、長庚病院が、2015年に従来の「臨床顕微再建術研究員」制度を転換し、臨床研究員制度と修士課程を一つにして設置した「長庚顕微手術国際修士プログラム」である。最先端医療であるマイクロサージャリーの台湾における成功を世界に広めるものである。
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台湾の隅々で、日々、たくさんの感動的な物語が紡がれている。ベトナムから台湾に嫁いできた曾女香さんは、家庭、仕事、ボランティアと、一人何役もこなしながら自らの人生を切り開いてきた。タイから来た趙秀蘭さんは、おいしい料理で人々の舌を満足させ、それを支えにして苦しい日々を乗り越えてきた。
一方、工場や市場で廃棄されてしまう運命の食品や食材から、おいしい料理を作り出す「食品ロス削減運動」は、環境にやさしいだけでなく、その影響力は、農業や食の安全、若者の起業、高齢者ケアなど、さまざまな面に影響を及ぼしている。
台湾最南端の離島、小琉球で「海湧工作室」がウミガメの保護と環境保全のために始めた「海灘通貨」活動は、ビーチクリーン活動を通してビニール袋の使い捨て削減を呼びかける。今月の「フォトエッセイ」では、皆様をウミガメの泳ぐ海へとお誘いし、蛤板湾のビーチで波の音を聴き、海に沈む夕日を愛でていただく。この小さな島の美しさに触れながら、海とウミガメを護ることの大切さを皆様とともに考えていきたい。