観客の沸いたフィリピン公演
10月8~12日、舞鈴は巡演のスタート地点であるフィリピンに滞在した。
このツアーは中華民国国慶日と重なっており、初日の国慶日レセプションでは20分間のハイライトバージョンを披露。その後、カルロス‧P‧ロムロ劇場とフィリピン中華文化経済総会大礼堂で『生命之光』フルバージョンを演じた。
ディアボロは音楽、照明、映像などとともに、時には主役に時には脇役になりながら、ダンスやアクロバットも組み合わされて、生命が探索の旅を繰り広げていく物語を描き出した。
『生命之光』には台詞がないうえ、登場人物の一人「海洋女神」が歌う曲はオーストロネシア語系の歌詞だったが、観客は舞台に見入っていた。
公演の中ほどには、観客に舞台上でディアボロを経験してもらう趣向もあった。まるで魔法使いにでもなったかのように少しの動作でコマが滑り始める興奮を体験でき、しかも終わるとディアボロがプレゼントされたので、「次は私に」と観客席が沸き立った。
『スコティッシュ‧フィールド』誌のジェレミー‧ウェルチ氏は舞鈴の公演について「是非チケットを買ってみてほしい。後悔はしないから」と推薦文を書いている。1550名を超えるフィリピンの観客もこの言葉にうなずくだろう。
数十年にわたる巡演の経験で、彼らはどこに行っても直ちに適応する能力を養った。フィリピン中華文化経済総会大礼堂では高低差のある舞台にしようと、夜通し舞台設営や照明の調整を行った。こうして無事に公演を終え、観客から万雷の拍手が送られた光景を、団長の劉楽群さんは今も忘れられない。「観客の反応からは多くのエネルギーをもらいます」と彼は言う。
彼はこんなエピソードも紹介してくれた。現地の英字新聞で最大の発行部数を誇る『マニラ‧ブレティン』のバデット‧クナナン広報マネージャーが2日目の公演終了後に彼のところに来て、「本当に素晴らしい公演で、台湾に行きたくなりました」と挨拶してくれたという。国や言葉の異なる人々に「台湾を知りたい」と思ってもらえるのが最も嬉しいと劉楽群さんは言う。
フィリピンでの3日間の公演は、地元の多くのメディアに大きく取り上げられた。
舞鈴の創る芸術は、一部の人だけのものではなく、多くの人にとって身近なものでありたいと、劉楽群団長は言う。(林旻萱撮影)