セザンヌの作品とともに展示
今年7月にヨセミテ国立公園に招かれ、8月にサンフランシスコ・ベイエリアに戻ると、牟宗瑋はユニオンスクエア近辺のギャラリーに招かれて作品を展示した。ギャラリーには印象派の画家セザンヌ、メキシコの画家ディエゴ・リベラ(フリーダ・カーロの夫)など、美術史上の大家の作品が並び、小さい頃から憧れてきた画家と同じ場所に展示できたことを牟宗瑋は心から喜び、フェイスブックにその喜びを書き込んだ。
こんなチャンスを掴んだのは、サンフランシスコにおける11年の努力の結果である。
台湾の保守的な家庭に育った牟宗^٣は、小さい頃から絵本が好きで、絵筆をもってあれこれ描くのが楽しかった。高校は台北市立士林高級商業職業高校広告デザイン科に進学し、色彩学と写真撮影を学んだ。絵を描くのが大好きな彼女は、自由な絵画創作を大胆に試み、父の支えもあって、様々な素材を試し、枠にとらわれないスタイルで若い頃から高い芸術性を具えていた。
淡江大学マスコミ学科に進学してからも芸術への情熱を持ち続け、あちこち展覧会を見て回り、創作を続けていた。
大学卒業後は広告会社のアートディレクターを担当していたが、たまたま出かけたアメリカ西部の自然景観に感動した。大自然を愛する彼女は、リュックを背負って太平洋沿岸からネバダやアリゾナの砂漠地帯、そしてユタ、コロラド、ワイオミング、モンタナのロッキー山脈を歩き、山と海が続く美しい自然を堪能した。
現代美術の雰囲気が濃厚に感じられるサンフランシスコにあって、牟宗瑋は澎湃たる創作のエネルギーを感じた。当時を振り返り「人生は一回限り、芸術創作に打ち込みたかったし、いま仕事を辞めなければ、これから辞められなくなる、チャンスがそこにあると思いました」と語る。
彼女はヨセミテ国立公園に招かれ、2012年からここでパステル画を教えている。