海外で助けてくれるのは誰か?
万一、緊急事態に直面した時は、天災人災に関わらず、まずは現地の台湾出先機関に連絡を取るべきである。連絡方法は外交部の「旅外救助指南」アプリをダウンロードすればいい。空港にも急難救助カードがあり、電話番号やルールが書いてある他、渡航先の言語で助けを求める言葉も書いてある。これらの準備をしていなくても、海外で携帯電話の電源を入れれば、自動的に外交部からのメッセージが入り、海外からの緊急無料電話番号800-0885-0885が表示される。
「我々はコンビニのように24時間態勢で、家族との連絡や緊急の少額貸付、帰国用チケットの手配、弁護士や通訳の紹介などを行なっています」と領事事務局の龔中誠局長は言う。2014年、外交部では急難救助案件を5327件処理した。そのうち2943件はパスポートの盗難・遺失で、中には安全にかかわる事件もあったが、現在のところ、幸いテロ攻撃には巻き込まれた国民はいない。
テロ事件が頻発する中、世界各国が入国管理政策を見直しており、イスラム教徒の入国を禁止するべきという極端な意見まで出ている。
2015年、台湾を訪れた外国人はのべ1000万人を突破したが、観光推進と国の安全をどう両立させるかは重要な課題である。
領事事務局によると、世界的なテロ対策に協力して我が国もビザ発給を厳格に管理している。また桃園空港では高いレベルの安全措置を実施し、内政部移民署による管制もあり、台湾は世界で最も安全な国だと言える。もちろん、テロ対策のために鎖国へ向かうべきではなく、我が国は世界各国とビザ手続き簡略化を進めている。2016年からはチリとウズベキスタン、ルワンダが加わり、現在161の国と地域が台湾からの旅行者にビザ免除またはビザの現地取得、電子ビザなどを認めている。多くの国が台湾人にビザ免除の措置を取っているが、それらの国の国民が同様の待遇で台湾に入国できるとは限らない。
安全と利便性を兼ね備えたe-Visa
互恵と対等という外交の目標を達成し、旅行書類の電子化の趨勢に対応するため、外交部は2016年1月12日から来訪する外国人に対して電子ビザ(e-Visa)の発給を正式に開始した。我が国と国交のある21ヶ国と、もともとビザの現地取得を認めていたトルコ、ブルネイ、マケドニアの他に、相互にビザ発給簡略化を進めてきたグアテマラなどを含む27ヶ国の他に、招待されて台湾での国際会議やスポーツ大会に参加する人々で、「ビザの選択的現地取得」が適用されている国々の人は、いずれも電子ビザを申請して台湾に入境できることとなり、繁雑なビザ申請手続きをしなくてよいこととなった。
電子ビザはオンラインで申請し、外交部の審査を経て発給されるため、時間や金銭的負担も削減できる。また第3国からの申請もでき、他国から台湾に入境することも可能だ。たとえば、トルコの学者が、日本から台湾に来る場合、トルコに戻って台湾の出先機関に申請する必要はなく、オンラインで電子ビザを申請すればよい。
電子ビザは国境の安全と観光の利便性を兼ね備えたものだ。羅添宏は、今後さらに多くの国に電子ビザを適用する予定で、我が国の門戸開放と安全保障にとって重要なシステムになるという。
台湾は多様な文化を持つ社会であり、宗教から食文化まで、異なる文化をオープンに受け入れている。だからこそテロの影響を受けるのではなく、より活発でフレキシブルな政策や手段を以て、独自の道を開いていかなければならない。