経営学には集団力学(グループダイナミクス)という概念がある。グループの発展のライフサイクルにはフォーミング(形成)、ストーミング(発想)、ノーミング(規範)、パフォーミング(実行)の循環があるというものだ。グローバルな経済環境が大きく変化する中、台湾企業はまさに産業のグレードアップと構造転換、そして経営面での変化を迫られている。この激変する情勢の中で、台湾には一般には知られていないものの、世界的に重要な役割を果たす、実力を持つ「隠れたチャンピオン」が存在する。
例えば、研磨に用いるグラインディング‧ホイールを十万種も生産するメーカーや、マイクロギヤモーターやサーボモーターを米軍の救急用ボーンドリルや、テスラのドアロックなどに提供する機械メーカー、それに合成樹脂からスタートして世界シェアトップのドライフィルムフォトレジスト技術を開発した企業、世界第3位のマーケットシェアを誇るエコ発泡プラスチックのメーカーなどだ。今月の『光華』のカバーストーリーで、こうした台湾の「隠れたチャンピオン」の背後の物語をお読みいただけば、これらの企業がどのようにチームの結束力を高め、無限の可能性を探り、その創意の実現に不可欠な実行力を発揮してきたかがお分かりいただけるだろう。
一方、地方産業はどのように地域の特色を活かし、新たな表情をもたらしているのか。理工系トップの2大学とサイエンスパークがある「新竹」は、長年テクノロジーの町とされ、文化的景観が少ないと言われてきた。そうした中、かつて四零四科技(MOXA)のCEOだった陳添順は、書店を開いて文化産業の展開に取り組み、新竹のイメージを変えようとしている。また、鹿港に軒を連ねる築百年を超える古い家屋の再利用や、「コミュニティと向き合う美術館」を謳う嘉義市立美術館など、各地でそれぞれの土地のために努力する人々の姿をご紹介する。
こうした人と大地への思いは、廃材を美しい芸術品へとよみがえらせるバリ島出身のマデ‧スカリアワンや、自然農法で化学物質無添加のエッセンシャルオイルを作る芙彤園(Blueseeds)、それにi-dance Taipei国際即興パフォーマンス大会を創設した舞踊家の古名伸などの姿にも見ることができる。こうした善良な心が少しずつ積み重なって、台湾特有の「人と文化」の景観を形成している。まさに嘉義市立美術館の頼依欣が、「町の美術館として多様なエネルギーを注ぎ込むにはどうすればいいのか。この町の美学をいかに動かしていくか」と常々考えている通りである。あなたも台湾の文化的風景の創造に加わってはいかがだろう。