台湾での経験をアフリカで
「アフリカの学生たちは『地域や国を変えたい。それが夢だ』と言います」と言うのは、長栄大学で地域の持続可能性促進に取り組むグループの代表者である甘玲華さんだ。USRプロジェクトに参加して、彼女は夢を実現する力を目の当たりにしてきた。
2012年のジェーン‧グドール博士の台南訪問をきっかけに、長栄大学では2016年に「環境教育国際実験学院」を設立、その後も留学生のための「持続可能な発展のための国際学士課程」を開設し、7年間で11ヵ国、主に東アフリカからの留学生が学んでいる。
タンザニア出身のベニカ‧エバリスト‧ンジクさんはジェーン‧グドール協会の推薦を受けて台湾に来た。台湾女性の自立性に啓発されたンジクさんが「故郷で女性の権利を高めたい」と言っていたのを甘玲華さんは覚えている。「彼女は大学1年の時に私に、世界月経衛生デーに合わせて行うプロジェクトの考えを話してくれました」
生理への偏見や生理の貧困といった問題をなくそうと、ンジクさんはまず長栄大学周辺地域で仲間とともにワークショップを開いた。生理をテーマとした内容で、繰り返し使える生理用布ナプキンの作り方も教えた。そしてこの経験をもとに、タンザニア、ブルンジ、ウガンダ、エスワティニでも30以上のワークショップを開催してきた。
ンジクさんに触発され、エスワティニから来たシンディ‧ションウェさんも同様のプロジェクトを母国で進める。「まずは『彼ら』に生理用品を知ってもらわないと」と考え、女性だけでなく男性の参加も熱心に呼びかけた。ションウェさんと仲間が長栄大学看護科との協力で昨年1月に開いた講座では、女性の体についての内容をさらに増やし、「好意的な反響を多く得た」とションウェさんは言う。

台湾で各種USRプロジェクトに参加することで、学生はさまざまな技能を身につけながら、それを故郷にどのように還元できるかも考える。(長栄大学提供)