台湾には大豆製品が非常に多い。輔仁大学食品科学学科の高彩華教授によると、豆乳や豆腐を食用するという記載は漢の時代からあり、東洋の食文化を代表するこの食品には2000年余りの歴史があることがわかる。
東洋と西洋とでは大豆の利用方法も異なる。有機豆腐メーカー「豆之味」の林国禎・総経理によると、アメリカなどで大豆が栽培されているのは主に油の原料にするためで、大豆タンパクの部分は家畜の飼料にされる。一方、東洋では大豆から直接豆腐などの製品を作って食用する。
高彩華さんによると、東洋の人々は大豆の味に慣れているだけでなく、その栄養価の高さから大豆を「畑の肉」と呼び、栄養価は肉類に引けを取らない。
大豆食品は極めて日常的な食材であり、台湾では市場やスーパーなど、どこででも簡単に手に入る。また「大渓豆干」や「深坑豆腐」は、それぞれの地域を代表する特産品で、職人の技術や地域の歴史文化を象徴している。また、若い世代に受け入れられつつあるベジミートのハンバーガーや、牛乳ではなく豆乳を使ったアイスクリーム、それに筋トレ後の栄養補給に飲むソイプロテインなど、まったく新しい形の大豆製品もあり、それらが伝統的な大豆食品と共存している。
今回「台湾光華雑誌」は、全台湾で生産量トップに名を連ねる湯葉メーカーと有機豆腐メーカーを訪れ、大豆食品作りを見ていく。
まず訪れたのは、雲林県の莿桐と崙背にある久代食品加工廠(以下、久代食品)だ。
不織布の靴カバーとキャップをつけ、完全に密閉された湯葉工場に入ると、熱気が襲ってくる。70~80℃の蒸気管の熱によって豆乳の表面に薄い膜が張り、ファン付きのジャケットを着た作業員が、10分おきに慣れた手つきで竹箸を使って薄い湯葉を引き上げていく。これをさらに正方形に折りたためば「豆包」になる。