「きらきら星よ」と童謡に歌われるように、多くの子供たちは星に触れることで天体に興味を持つ。もちろん大人になってからでも星の観察というのは魅力的なものだ。星を観察するには、まず満天の星の中から星座を見分ける術を知らなければならない。では、星の観察にはどのような準備が必要なのだろう。台湾で星を見るにはどこへ行けばいいのだろう。
一、 星の観察のための準備
夜空の星を見上げることは誰にでもできるが、少し本格的に星座や星の動きを観察し、その背景の物語を知り、知識を得ようと思うなら、文山天文台の創設者である陳正鵬氏が言う「入門の三条件」を知る必要があるだろう。「天気の良い時は星を見て、天気が悪い時は天文書を読む」と語る陳氏は、まず天文の常識を得なければ、流星群や彗星のニュースを読んでも理解できないだろうと言う。まずは天文学の基本的知識を紹介した本を少なくとも1〜2冊は読む必要がある。
次に、夜間の照明やダストの多い今日では、初心者は口径50ミリ、7倍の双眼鏡を準備するのがよい。入門段階を経て、少しずつ観察のレベルを上げていく段階に入ったら、口径6〜8センチの小型天体望遠鏡を用意する。「こういう天体望遠鏡は、すでにガリレオのものよりずっと優れているのです」と陳さんは言う。太陽の黒点、木星の四つの衛星、土星の環、そして月のクレーターまですべて観察することができる。
入門用の双眼鏡を用意したら、もう一つ必要なのは最良の天文の先生――星座早見盤だ。日時を合せさえすれば365日すべての時間にどのような星空が見えるかがわかる。そして赤いセロハンを貼った小さい懐中電灯を用意し、暗闇の中で星座盤を照らして見ればいい。
第三に、人間にとっての時間の尺度から見れば、天体の運行はスイス製の時計より精確とも言えるので、通用の天文カレンダーを用意するといいだろう。これさえあれば、毎日の惑星の出没の時間や位置、星の明るさ、彗星や流星群、日食、月食などの天体現象がすべて詳細に書かれているので、天空での出来事をすべて知ることができる。
二、 観測ポイント(地図を参照)
星を見るには、視界が広く、空気が澄んでいるところがよい。また街の明りが届かず、塵が少なく、視界をさえぎる高いビルがない方が良いし、月が出ていない方がよく見える。したがって郊外や海辺、離島などは、どこも星の観察には適している。台湾は海洋型の気候のために天候は不安定だが、高い山の上で突然雲が晴れた時に広がる満天の星は実に美しい。
星の観察にふさわしい場所を北から紹介していこう。まず北部の陽明山のタコ天崗や小油坑は視界が広く、星座に親しむのにふさわしい。ただ陽明山は台北に近く、街の明りの影響を受けるため、夜空にびっしりと星が見えるわけではない。だが主要な星の配列はよく見えるので、初心者にふさわしい場所と言えるだろう。
少し南へ下った桃園や新竹にも観察にふさわしい場所は多い。石門ダム上流の拉拉山では北斗七星に手が届くような感じがするし、尖石郷に入ると、陽明山で見る数倍もの星が見える。尖石郷の新楽小学校は、台湾の天文クラブや天文ファンの基地となっているほどだ。最近『台湾観星地図』を出版した台湾天文倶楽部の楊徳良会長によると、雪霸国立公園内の観霧から楽山までの一帯は海抜2000メートルを超えており、まさに「満天の星」という言葉を実感できると言う。
台湾の中心に位置する埔里から山に入り、霧社を越えた南投の清境農場も天文ファンのメッカだ。南投県は天文ファンから台湾で最も天体観測にふさわしい場所と言われており、中部横断道路沿線の梨山、東勢林場、玉山国立公園の塔塔加センター、丹大山の丹大山農場、そして阿里山などには多くの人が星の観察に訪れる。
台湾の東北部では、宜蘭の太平山が人気があり、花東縦谷を南へ下った台東では初鹿牧場が最良の観察ポイントである。さらに南へ向い、星の観測地として常にトップに挙げられる屏東の恒春半島へ行けば、半島各地の有名な景勝地はどこも絶好の場所だ。近年、百武彗星やヘール・ボップ彗星、しし座流星群などで天体観察のブームが起きた時にも、恒春半島には万単位の人々が観測に訪れ、街の通りは人であふれた。
楊徳良さんによると、墾丁は緯度が低いため、北極星もやや北寄りに見えるし、台湾の他の地域とは違う星空が観察できる。南十字座やキーホール星雲などは台湾の北部や中部では決して見られないものだ。
離島では、緑島と蘭嶼の海辺は視界が広く、星の観察を兼ねた旅行には最適だ。陳徳良さんは、蘭嶼最南端の復興農荘から龍頭岩までの一帯でも南半球の星座が見えるので、ぜひ見逃さないようにと推薦する。
三、 星座の見分け方
かつては、各民族がそれぞれに星を見分ける独自の方法を持っていたが、今日では世界で88の星座が統一されていて、大多数の星座では最も明るい星がα、次いでβ、γという具合に呼ばれている。台湾では星座は国際慣例の分類にしたがっているが、重要な星の名前は祖先から伝わる中国独自の名で呼んでいる。星の視等級は明るさによって分けられており、一等星を基準として、それより明るい星は零等星、さらに明るいものはマイナス一等星となり、プラスからマイナスに向うにしたがって明るさが増していく。視力1.0の人が肉眼でようやく見える星が六等星だ。
地球の自転によって、私たちが目にする星空は東から昇り、西へと1時間に15度ずつ動いていき、四季によって見られる夜空も違ってくる。台湾は北半球に位置するため、一年の間に82の星座が見られるが、では満天の星の中で、どのように星を見分ければいいのだろう。
車を運転する際、主要幹線道路さえ知っていれば方向を見失わずにすむ。夜空もこれと同じで、主なな星座の方位と特徴を知っていれば、天体観測の要領がつかめるはずだ。
春の夜、8時から10時の間、北斗七星の杓の柄の部分は東を指す。そこで、夜空を見上げたら、まず北極星を探し、星座早見盤を合せて、うしかい座、おとめ座、しし座の三つの首星を見つける。それらをつないだものが春の大三角だ。それから少し想像力を発揮すれば、ライオンやカラスなどの動物や人物の姿が夜空に浮かび上がってくるだろう。
夏の夜、星が見え始める頃の北斗七星の柄は南を指している。この時も同じように、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイル(彦星)、こと座のベガ(織姫)を探し出してつなげば、夏の夜空のシンボルである大三角になる。そこから三角形の近くの星座を一つずつ見付けていけばいい。はくちょう座の白鳥の首の位置にはブラックホールがあると思えば、さらに想像が膨らむだろう。8月中旬の夜には、天の川が美しく見える。
秋の北斗星は地平線近くにある。秋の主な星はペガサス座の三つの星とアンドロメダ座で、これらの明るい星をつなぐと秋の四辺形になる。宇宙に無数にある銀河の中で、アンドロメダ座のアンドロメダ銀河は、私たちの銀河系のすぐ隣りにあり、地球から「わずか230万光年しか」離れていない。秋の夜空では、この隣りの銀河の観賞を忘れないようにしたい。
冬になると、おうし座は頭を下げてオリオンを狙い、星々は美しく輝くと陳正鵬さんは言う。オリオン座は88星座の王者と言われる。その形から見分けやすく、また星座の中にオリオン星雲が見えるからだ。この季節、夜空で一番明るいシリウスは、冬の天体観察の良い目印となる。
四、 見逃せない現象
季節ごとに見られる星座の他に、夜空では時に特別な現象も見られる。陳正鵬さんは、人生は一度しかないのだから、次の三つの現象はぜひ見逃さないでほしいと言う。
一つは、壮観な流星群だ。流星群の本体は彗星の放出塵の集まりである。これを目にすることは難しくなく、毎年定期的に50の流星群が観測できる。ただその規模はさまざまで、ここ数年、台湾で観測された流星群の規模は、大きなものではなかった。しかし今年11月18日に出現する、しし座流星群は台湾の夜空に星の大雨を降らせると見られている。「静かに星の雨を見ることができれば、それだけで生きている価値があるというものです」と天文ファンの陳正鵬さんは言う。
二つ目は、大きな尾を引く彗星だ。彗星はしばしば数ヶ月にわたって見られるので、観察できるチャンスは少なくない。ただ彗星によって周期はさまざまで、ハレー彗星は76年、1997年に現われたヘール・ボップ彗星は4000年余りも待たなければ地球から見える位置には戻ってこない。
三つ目は皆既日食だ。太陽の直径は月のそれの400倍だが、月は太陽より地球に400倍近いため、月が太陽の光を遮る瞬間がある。これは、まさに造物主の悪戯とも言える現象で、その時、地上は昼間なのに夜のように暗くなり、星が見える。わずか3分から6分ほどの間だが、天文ファンなら、これを観察できただけで生きていた甲斐があったというものだ。以上の三つの珍しい現象を実際に見てきた陳正鵬さんは、この三つを見られたら、もう何も思い残すことはないと言う。
さあ、早速今夜から星を観察してみようではないか。

星の観察にはお金はかからない。街の明りが少なく視界の良い場所で、小さな天体望遠鏡さえあれば誰でも夜空のさまざまな現象を観察することができる。上の写真は左からオリオン星雲、皆既日食、M45プレヤデス星団、ヘール・ボップ彗星(以上は台湾天文倶楽部提供)そしてしし座流星群だ。

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