人の心を動かす写真を見た時、大きな衝撃を受ける。こうした記憶と感情のつながりは、言葉による記録を大きく超えるものであり、それが写真の魅力でもある。そこに切り取られた瞬間の物語は継続しているからだ。
今月号の『光華』は写真を特集する。写真界の巨匠に核心的な理念をうかがい、近年ブームとなっているフォトブックの出版や写真展、写真フェスティバルの開催を追う。今月の「フォトエッセイ」では写真家がとらえた1970〜90年代の台湾をご覧いただく。テーマや世代を越え、またエスニックを越えた対話を可能にするものだ。日本の写真家・北島敬三が「一人ひとりの写真家が、正面からそれぞれのテーマと向き合う決意と姿に大きな衝撃を受けた」と言う通りである。
古いものも新しいものも受け入れる台湾では、2500年の歴史を持つ儒学が深く根を下ろしている。黎明を破って鐘太鼓の楽が始まり、国家レベルの祭典が幕を開ける。毎年9月28日の孔子生誕日に行なわれる釈奠大典である。孔子の楽生や([生とともに台北第一女子高校の儀仗隊が並び、新旧が交錯する。日本統治時代に台南にあった高級料亭「鶯料理」は、長年放置されて荒廃し、台風被害で破損していたが、文化遺産に指定され、2018年、100年の時を経て再びかつての華やぎを取り戻し、営業を開始した。
同じく長い歴史を持ち、国の歴史と深くかかわってきたのは国営ラジオ局中央広播電台(台湾国際放送)だ。同局が放送する14ヶ国語の番組は世界各地に届き、多くのリスナーに愛されている。最近は新南向政策に呼応し、台湾に暮らす50万人を超える新住民(海外から移り住んできた人々)の心の拠り所となっている。90年の歴史を誇るラジオ局が今も多くの人に愛され、最新テクノロジーを積極的に取り入れて新たな時代を切り開いている。
2015〜16年、台湾はオープンナレッジファウンデーション(OKFN) のオープンデータ評価指標で、2年連続1位に輝いた。これは、国としてのガバナンスの透明化を示すだけでなく、ビジネスや非営利への応用が続々と生まれることを意味する。今月号ではオープンデータが交通や気象などさまざまな分野で応用され、産業発展を促している現状をご紹介する。
東洋のノーベル賞とされる「唐賞」が第3回を迎えた。唐賞は海外で台湾のイメージを高め、また研究と学園とのつながりを促進している。
また「中強光電文化芸術基金会」による第1回光環境賞にも注目したい。周錬、林懐民、夏鋳九、蒋勲らを審査員に迎え、光害を減らし、美しい光の環境を取り戻す努力を続けている。『光華』取材班は第一線で取材し、台湾の最新の動きをお伝えする。