サーカスの夢プロジェクト
結成7年、毎年百回を超えるパフォーマンスを続け、「オーレの不思議な旅(O'le)」「一瞬の光(How Long Is Now?)」といった大規模なプロデュース6作もある。商業公演とアートパフォーマンスのバランスをとっていくことが、今後の目標である。FOCAが育つとともに、林智偉はメンバーと次の一歩を考えている。2020年には「サーカス・ドリームプロジェクト」を始める計画だ。自身の教育系統でサーカス教室を設立する。団員の今後を考えてのことでもあり、FOCAの経営持続も可能にする。
林智偉は「FOCAは金持ちだという人がいますが、7年前はゼロから始まったことには気が付かないのです。練習場もなく、衣装もなく、暗闇を模索して、一歩ずつ歩いてきたんです」
インタビューが一段落すると、林智偉は傍の電話を取った。出演の話らしい。写真を撮りますと声をかけると、ゆっくり歩いてきた。8人がピラミッドを組んだが、林だけ服を着ている。「ダメです。今は練習してないから」という。笑い声が広がった。メンバーは上へ上へと立ち上がり、林智偉が中央に立った。横のメンバーが彼の腕を引き、続いて一人ひとり着地した。
サーカスへの情熱が、彼らを固く繋ぐ。私は、照れ屋の黄冠栄を思い出した。舞踊科出身の彼は無口だが、FOCAでは共通の目標があると話してくれた。「ピラミッドが力を合わせてできあがるように、一つの動作を数千数万回練習して、安心して自分を相手に任せるのです」
きっと、こうして互いに団結して、互いを支え合ってきたのだろう。
メンバーは毎日稽古場で練習を重ねて息を合わせている。写真は趙偉辰(下)と羅元陽。(林格立撮影)