中産階級の台頭、教育の新南向政策
今の生活を楽しむ主義のインドネシア人の貯蓄率はアジアでは最低だが、経済発展に伴い中産階級が台頭すると、この現象に変化が見えてきた。2009年から2014年の間にインドネシアの家計の可処分所得は26%増加し、貯蓄率は2005年の2.6%から4.8%に向上した。
台頭する中産階級の生活様式も変化し、消費行動も変わってきた。食や娯楽、社交を重視するインドネシアの社会において、経済力が向上すると社交と娯楽がさらに求められ、消費も国際化して外資にとっては投資チャンスが生まれてきた。それが、ひいては次の世代の教育投資にも影響しているのである。現在、ジャカルタとスラバヤの二ヶ所にある台湾人学校は、台湾企業の子女しか入学できなかったが、現在は現地華僑の子女も入学できるようになった。入学希望者は年々増加していて、インドネシアの華人社会において、中国語教育が重視されているのが分る。
東南アジアに工場を設置した台湾企業では、管理職の言語能力が課題である。台湾政府は台湾に嫁いだ東南アジア出身者の子供たちの母語学習をサポートし、将来的に東南アジア奨学金計画を立て、東南アジアの文化や言語学習のため、公費留学生100名の枠を設定する予定である。また東南アジアから台湾への留学生も受け入れも促進し、新南向政策の一環に教育も盛り込まれた。
インドネシアのムハンマド・ナシル技術研究及び高等教育大臣によると、インドネシアは2012年より台湾、ドイツ、オーストリア、ニュージーランドを博士課程の公費留学生の四大優先留学先に指定し、台湾に多数の大学講師を留学させており、また台湾の学生のインドネシア留学も歓迎しているという。台湾とインドネシアの間の重要な教育交流の場となるであろう。
周宗和は台湾の新政権の新南向政策への支持を表明する。政権が安定し、純朴な気風のインドネシアでは、台湾人が工場を開設して従業員を訓練するのも容易で、将来数年の投資環境は良好である。多くの台湾企業が国交のない国にも進出し、ビジネスのソフトパワーを発揮できるようになれば、海外における台湾の有力な経済的後ろ盾となるであろう。
消費と海外からの投資がインドネシアの経済成長を牽引している。現地政府はインフラ改善と海洋貿易を積極的に推進しており、外資を惹きつけている。
2016年、世界経済フォーラム(WEF)の報告でもインドネシア経済の成長が証明された。
インドネシアでは中産階級の増加で消費が伸びている。写真はジャカルタのイスティクラル・モスクに集う子供たち。(林格立撮影)
近年の経済急成長によって、海外からの投資項目も変わってきた。かつては安価な労働力が魅力の生産基地だったが、今では巨大な内需市場や高級品市場が注目されている。