「光」で導く
生物多様性賞でイノベーション賞を受賞したのは光林智能科技公司である。
野外照明技術の光林智能は、これまで環境にやさしいLEDを使った街灯や信号を開発してきたが、近年ではAIを導入した光学技術を活用して、クリーンでスマートな都市照明システムの開発に取り組んでいる。
環境にやさしいLEDの街灯も問題を引き起こしている。2014年、米フロリダ州魚類野生生物保護委員会(FWRI-FWC)はウミガメの赤ちゃんがブルーライトに惑わされ市街に向かってしまわぬよう、海岸の屋外照明をオレンジ色に変更するよう州政府に提言した。
光林智能の研究開発センター製品管理部の彭耀祈氏によると、光林智能はこの件をきっかけに夜間の人の通行の安全を守りつつ、同時に生態保護にも資する環境にやさしい照明器具の研究を始めたそうで、最終的に「生態保護スマート照明システム」を開発し、2019年に台湾で特許を取得した。
この技術はそれまで白色と黄色しかなかった屋外照明に、生物の視野と地元の生物の特性に合わせた対応の光学フィルターを装着することで、生物の誘導や駆逐の効果をもたらすもので、夜道を照らす街灯としての役割には影響しない。
実際に高雄市六亀では市街から郊外の山地へと続く道路のLED街灯が、山に生息するルリアリを住宅地に呼び寄せ住民を悩ませていたが、街灯に光学フィルターを装着してブルーライトを遮ると、通行に必要な明るさを確保しつつルリアリの害を90%減少させることができた。
光林智能の開発チームは、この「生態保護スマート照明システム」の技術を林業署の国土生態ネットワーク計画に活かして、生物多様性が失われつつあるホットスポットにおいて光学分野で貢献したいと明らかにした。また、研究者とも協力し、生物と光について研究をするための視野を広げる後押しをしていきたいとも語っている。
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近年、林業署は「浅山エリア」(海抜800m以下の山地)も保護範囲とした。(外交部資料)
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全聯は小豆をさまざまな商品にして、生態保護の物語を消費者とつながる架け橋にした。
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ひと粒の小豆に生物多様性を守る人々の努力が込められている。(全聯提供)
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「生態保護スマート照明システム」を使用した高雄市六亀では、夜間に必要な明るさを保ちつつ、ルリアリの問題を大きく低減させた。(光林智能科技公司提供)
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ウミガメの赤ちゃんの歩みが、光林智能の「生態保護スマート照明システム」開発を促した。