対話を開く文化運動
年老いた親や病気の家族の介護という重荷を引き受けてくれる東南アジア出身の労働者は、台湾人にとって天使だと李玉玲は語る。そこで彼女は、美術館の同僚に、家庭で働く労働者を連れてきてくれるよう奨励した。ある時、美術館ボランティアの一人が高齢の母親と介護のアヤさんを連れてきているのに出会った。インドネシア人のアヤさんは、アングン・プリアンボドの大規模なインスタレーション「必需品の店」に並べられたインドネシアの生活用品や、南国風の装飾を目にして、口数の少ない彼女が楽しそうに故郷のあれこれを話し出したのである。これにはボランティアと母親も驚き、また喜んだ。
李館長はまた、大人ばかりではなく子供たちにも東南アジア美術に触れてほしいと語る。東南アジアからの移住者は経済的な弱者というイメージがあり、その二世はまた母の文化への認識が乏しく、同級生の間でも劣等感にとらわれ、いじめられたりもする。そこで国際ロータリークラブの援助があって、遠隔地に住む児童たちを展覧会の見学に招くこととした。ガイドたちも親しみやすい解説を心掛け、子供たちが母親の文化を前向きにとらえ、また、ほかの子供たちが二世の同級生に質問できる環境を作り出した。
「サンシャワー」展覧会は今年9月に終了したが、これに続き「刺青—身体の印」、来年は「泛・南・島」の展覧会により、異なる視点から東南アジアの芸術を紹介していく。李玉玲館長は、東南アジアの文化を紹介する運動を通じて、来館者がそれぞれ次の人に伝え、東南アジアを理解する機会となることを期待している。
「国道五号線」はカンボジアの高速道路開発が周囲の住宅にもたらした影響を記録した作品だが、阮青河は別の角度から解釈する。
「国道五号線」はカンボジアの高速道路開発が周囲の住宅にもたらした影響を記録した作品だが、阮青河は別の角度から解釈する。
ミャンマーのティン・リンが、政治犯として収監されていた時に監獄の制服をキャンバスに描いたシリーズ作品「00235」。
インドネシアの故郷のあれこれを語る移住労働者のアヤさん。芸術文化を通して台湾と東南アジアの対話が深まっていく。(高雄市立美術館提供)