楊牧の〈瓶中稿〉を読むと、海の彼方の岸辺はどれほど美しいのかと、興味を持つのではないだろうか。アメリカ西海岸にいた作者は、すべての波は花蓮から始まると記した。金鐘賞を多数受賞した台湾ドラマ『想見你(時をかける愛)』を見た人は、登場人物と同じように台南安平の天宮后の前で冷たいドリンクを飲んだり、カルメ焼きを作ったり、パチンコ台で遊んだりして、地元の雰囲気を楽しみたくなったのではないだろうか。
多くの小説やドラマの描く情景は印象的で人々の記憶に残り、文芸作品を読んだ時の感動も、共感できる観光旅行につながる。これらの作家や画家、あるいはドラマ監督が描き出すシーンは、新しい旅行体験につながるものなのである。今月の『光華』はドラマや絵画、小説、詩など、芸術や文芸作品の視点を通して、台湾の印象深い情景を改めて解釈する。
同じく台湾を印象付けるのは、豊かで多様な朝食文化だろう。街角の朝食屋は人々の食欲を満たすだけでなく、さまざまな時代を経てきた台湾の食文化の縮図でもある。
廟のお参りなどに用いる線香や紙銭の文化も時代とともに変化してきた。煙を出す香や紙銭の材質改良や減量、焼却施設の改善、あるいは代替案など、台湾では伝統と環境保護の間で新たな解決策の模索が進んでいる。
近年、台湾は積極的に外国と協力して友好の橋をかけている。台湾の樟之細道と韓国済州島(チェジュ島)の偶来小路(オレトレイル)、阿里山の特富野古道とカナダのブルーストレイル、草嶺古道と日本・気仙沼の唐桑半島のトレイルなど、外国との間で登山道やトレイル間の交流が深まり、双方の観光産業の発展につながっている。大自然と生物多様性に富んだ台湾の古道の知名度も高まっている。
このほかに今月号には、古い歴史的写真のカラー化、台湾茶のトレーサビリティと認証制度、登山家たちの物語などの記事があり、いずれも台湾のすばらしさをお伝えする。楊牧の詩〈君を花蓮へ連れて帰ろう〉(1975)にある通りである。
田畑のある谷へ一緒に滑降し
創生の神話を目撃しよう。
働き
温和な土地を切り開こう。
……
収穫の谷へ一緒に滑降しよう
ここは私たちの故郷
読者の皆様にとって『光華』が、台湾各地の豊かな自然や文化、エスニック、産業を知る媒介となることを願っています。