山と海の間を歩く
台湾の長栄航空(エバー航空)は2024年に「欧州メディア訪問団」を主催し、オーストリアやスイスからインフルエンサーを台湾旅行に招いた。まず台北で開かれる長栄マラソンに参加し、それから高速鉄道を利用して点と点を結ぶ形で山海圳グリーンウェイを歩くという日程で、台湾の山林をハイキング好きのヨーロッパの人々に紹介するのが目的だ。
長栄航空オーストリア支社の蔡佩芸さんによると、アルプス山脈のあるオーストリアには台湾との共通点が多い。どちらも面積は広くなく、山が多く、休日に山歩きをする人が多い。
現在、ヨーロッパと台湾を結ぶ直行便は多く、台湾旅行は非常に便利である。ただ、中欧や東欧から台湾に行ったことのある観光客の多くは台北にしか行っていないと蔡佩芸さんは言う。台湾には多数のトレイルや古い街があり、山でのハイキングや文化の旅を好むヨーロッパの人々には魅力的であり、より深く台湾を味わう旅ができるはずなのである。
オーストリアのインフルエンサー、アンナ-マリア・ボンフィグリオさんは、2024年の年初と年末に台湾政府交通部観光署などに招かれて台湾を訪れた。彼女にとって、一日のうちに台南安平で海を見て、そこから山の中の関仔嶺に移動して温泉に入れるというスケジュールが印象的だったという。また、阿里山のトレイルでは山があまりにも美しく、疲れさえ感じなかったそうだ。高級料理からB級グルメまで味わった彼女は、夜市の葱油餅(ネギの入った小麦粉の生地を焼いたもの)と地瓜球(サツマイモボール)を推薦し、ただ「臭豆腐は臭すぎて無理だった」と話してくれた。
オーストリアのラジオ業界で25年働き、旅行番組を製作するために150ヶ国を旅してきたPeter Agathakisさんは、台湾を訪れるのは3回目だった。彼は阿里山の景観はスイスのアルプスやペルーのアンデスに劣らない美しさだと話している。「台湾人は非常にフレンドリー、タイ人はスーパーフレンドリー。台湾の都市はきれいで秩序があり、日本は非常に清潔な国です。台湾はその両者の長所を兼ね備えています」という。
「私たちオーストリア人は登山が好きなので、私のリスナーには台湾での登山やハイキングを勧めたいと思います。また、いろいろな料理が食べられ、気候は穏やかでアジアの気分が味わえます」と話すAgathakisさんは、嘉義の鶏肉飯のカレーバージョンと奮起湖のワサビ風味の冷奴、それに台南の西瓜綿虱目魚鰭(間引きした小さいスイカの漬物とサバヒーという魚の鰭のスープ)を勧めている。いずれもその地域ならではの名物料理で、旅の達人らしい選択だ。
阿里山を歩く場合、一般的な体力なら歩きやすい特富野古道を選ぶといいだろう。前半の3.2キロはかつて木材輸送に用いられた「水山線」鉄道跡で、鬱蒼としたスギ林の中を歩く。ここでは阿里山コーヒーを楽しむことができ、さらに上を目指せば北東アジアの最高峰、玉山につながる。

台南市立博物館を訪れれば、台湾の歴史と文化の多様性に触れられる。