心が通うバーバー文化
1号店で、お客のカットを終えたおばちゃん、郭玉秀が取材を受けてくれた。「Auntie'sの繁盛ぶりを見て、私はWillyの恩人だと言う人がいますが、そうじゃありません。お互いに恩人なのです」と言う。
Willyと出会い、おばちゃんの人生は大きく変わった。その優れた技術を受け継ぐ者が出てきたのである。2号店の若い職人は彼女が育て上げたのである。
技術だけではない。多くの人がおばちゃんから人としての道も学んでいる。Auntie'sに足を踏み入れると、笑い声やおしゃべりの声が聞こえ、楽しげな空気に満ちている。Willyによると、おばちゃんには不思議な能力があり、一度来たお客がどこの出身でどんな仕事をしているのか、全部覚えていて、前回のおしゃべりをそのまま続けることができるのだという。交通事故に遭ったという話や子供が生まれたという話を聞けば、お見舞いやご祝儀も包む。
おばちゃんは、皆への感謝を忘れない。「大勢の先輩理容師に教えてもらわなければ、技術も身につかなかったでしょう」と言って大きな声で笑う。理髪店の仕事は大変だが、彼女は楽しく喜びをもって働いている。
おばちゃんの言行は皆に影響を及ぼしている。Willyは常に仲間の努力や協力を語り、成功は皆のおかげだと話す。ここで技術を学んで2年になる汪志誠も、Auntie'sのチームは家族のようで、「それもおばちゃんのおかげ」と話す。
Willy の高校の同級生David(顔峻誠)は、おばちゃんに髪を切ってもらうだけでなく、Auntie'sの経営パートナーでもあり、管理や事務を担当している。Davidも、おばちゃんがお客に接する姿を見て、自分もお客と友達のように交流するようになった。月に一度定期的に会う友人のように、仕事の悩みなども分かち合う。Auntie'sは男たちが鎧を脱いでくつろげる場なのである。彼は、男性が一人でやってきて自分の時間を楽しんでいく姿や、父親が息子を連れてバーバーを体験しに来る姿を見るのが好きだと言う。友人のようにお客の来店を待ち、心を交わす。そんな雰囲気を味わえる店である。
若者たちは、おばちゃんの信念を受け入れ、それがAuntie'sの文化となり、日常へと広がっている。人の心を大切にする態度がAuntie'sを成功に導いたと言えるだろう。バーバーは外国の文化であり、天母も外国人の多いエリアだが、おばちゃんのサービスは言葉の壁を乗り越え、外国人も台湾特有のもてなしを感じ、「even better」と言ってくれるそうだ。
かつて、若い世代は昔ながらの理髪店に行こうとしなかった。時代遅れな感じがしたからだ。それが今、若い世代が理髪店の文化を受け継ぎ、新たな世界を開こうとしている。彼らの小さな行動からバーバー文化が花開き、男性たちに身だしなみを整える場を提供するとともに、男の子が父親と一緒に床屋に行く記憶がよみがえり、また男同士の話ができる憩いの場が生まれたのである。
「紳室商号」は男性のためだけに作られた専属の空間だ。
Auntie'sで、男性たちは理容師に頭を任せ、一人の時間を楽しむ。
おばちゃんが使う道具は年季が入っている。どれも20年以上使われてきたものだ。
WillyとおばちゃんとDavidの3人が手を組み、真心でお客に接しつつバーバー文化を受け継いでいる。