広々明るい子供たちの遊び場
子どものいる家庭に広く支持されている児美館は、建築界で最高の栄誉であるプリツカー賞を受賞した日本人建築家・山本理顕氏と、台湾の建築家・石昭永氏が手を組んで設計された。
青埔特区に位置し、MRT桃園空港線A19駅近くに建つ児美館は、道路を挟んで大美館と向かい合う。さらにA17駅近くには書芸館が、また台湾高速鉄道桃園駅と直結するA18駅そばにはアウトレットモールの華泰名品城があり、こうした文化・レジャー施設が集まって文化のグリーンベルトを形成している。休日になるとこのエリアは市民のレジャースポットとして賑わうだけでなく、遠方からの観光客にも人気の場所となっている。
青塘園内に建つ児美館は、山本氏による透き通るようなデザインが特徴で、大きなガラス窓や緑に覆われた傾斜屋根がまるで丘のように景色に溶け込んでいる。屋根の上にはスロープがある。そこをぶらぶら登っていくのも面白そうだ。
遊びの場を提供する親子館(児童館)とは異なり「児美館の目的は子どもたちの美的感覚を高めること。それを周囲の生活環境から始めたい」と張さんは話す。子どもたちの目を引くため、館では積極的にアーティストを招き、桃園の地元要素を取り入れるなど、年齢ごとに楽しめる作品を用意する。
児美館の試営業期間中の展示「未来を探そう」について、桃園市立美術館教育普及部門の周郁齢さんが説明してくれた。12人のアーティストが青埔の農村から新興都市への変貌をテーマに作品制作をしたそうで、例えば李文政さん作のゲーム機「素敵なご近所さん」では、車両や高層ビル、ため池、川といった要素にくわえ、地元の工事現場でよく見かける警告用の黒と黄色の縞模様がユーモラスに取り入れられた。鄧文貞さんは「青埔のタイムトラベル」をテーマに、歴史的考証に基づき、刺繍を通じて過去から現在までの地域の変化を子どもたちに分かりやすく伝えた。
三明治工 (Sandwishes Studio) の「種の都市」は、桃園に移り住んだ多くの海外ルーツの家族を反映した作品。床に無造作に置かれているのは東南アジアの植物の種をモチーフにしたクッションだ。