新北市は台湾で最も人口の多い直轄市で、面積も広い。海岸線は120キロにおよび、北海岸には大自然が織りなす美しい景観が連なる。例えば瑞芳の南雅奇岩には、長い年月にわたって海水の浸食を受けてさまざまな形になった岩が並んでいる。萬里には拳のような形の拳頭石があり、これを見に多くの人が訪れる。石門洞公路沿いでは、海と空が一体となった水平線と美しい夕日を観賞できる。この海岸線にある小さな漁港にもそれぞれに特徴があり、温かい人情も感じられる。これらの小さな町を探索し、ローカルな文化や美食に触れるのも小さな旅の楽しみになるだろう。
瑞芳の小さな町である九份はかつて金鉱で栄え、「黄金山城(山間の黄金の町)」と称えられていた。古めかしい茶楼が並び、独特の坂道の景観が味わい深い。有名な映画『悲情城市』のロケ地としても知られており、世界中から観光客が訪れる。
深坑の古い町並みにの入り口には大きなアカギの木があり、この通りはおいしい豆腐で知られている。煮込み豆腐、黒豆腐、臭豆腐の炭火焼きなど、さまざまな豆腐料理で人気を博している。
天灯祭が行なわれる春節の期間中には、平渓の街に一万人を超える観光客が訪れ、誰もが願いを込めて空に灯籠を上げる。台湾独特の風習に触れ、文化的な体験を楽しみつつ一年の平安を祈ることができる。
淡水では季節によってさまざまな風景を楽しめる。古い町並み(淡水老街)の終点にある淡水礼拝堂には、多くの西洋の宣教師が足跡を残している。初春の天元宮を訪れれば、満開の桜で山林が桜色に染まる風景が楽しめる。大晦日のカウントダウンの花火なら淡江大橋に行ってみよう。この橋は淡海金色水岸沿いにあり、美しい夕日と芸術的な橋が一体となった景観が目を楽しませてくれる。間もなく完成する淡江大橋は、淡水の交通の新たなランドマークになることだろう。

平渓の天灯(張秀凰)
新北市平渓は独特の地理的環境から天灯が空高く上がるため、多くの観光客がこの文化を体験しようとやってくる。

黄金の町――九份(呉家仁)
魅力的な九份の夜景。黄金色の明かりが山中の町全体を覆っている。

家将の記念撮影(劉昭君)
家将(悪霊を追い払う祭りの演者)の華やかな衣装と顔の隈取りは目にも鮮やかで、台湾の祭りの文化や芸術を見ようと多くの人が訪れる。

深坑の古い町並み(陳美秀)
四方を山に囲まれた深坑は、穴の底のような地形であることから深坑と呼ばれる。この町は豆腐が美味しいので知られており、多くの人に愛されている。