自然と人間社会の調和
私たちは管理チームの後について、人里離れた敷地の奥深くへと一歩一歩足を踏み入れていった。環境トラストセンターのプロジェクト責任者・楊家豪さんの解説で、いたる所にあり仏や菩薩の座る蓮華の台座のような独特の托葉を持つリュウビンタイや、大人の背丈よりも高いヘゴについて知ることができた。こうしたシダがうっそうと茂る様子から、ここの湿り気の多さがわかる。一般的なクワズイモは、タイペイアオガエル、キグチキノボリトカゲなどの両生類にとって大切な休憩場所となり、コジュケイなどの鳥類にとっては猛禽類から身を隠す絶好の隠れ家にもなっている。
敷地は野球場にも満たないほどの広さしかない。「ですがこの面積だけでも、40種以上の台湾の固有種が観察されていて、保全対象のものも少なくないんですよ」と環境トラストセンターのチーム長・郭蕙芳さんは誇らしげに語る。
しかし生き物だけでなく、一見したところ、この原始的な風景にはよく見ると人の手が加えられた痕跡が少なくないようだ。この場所の礫岩は軟らかく崩れやすいため、チームは山裾のキノコ農家から出た廃材を法面保護材として利用した。別の危険な斜面では、すその所に岩が積み上げられているが、これはチーム、ボランティア、地元の高齢者が協力した結果である。この工程は、地元の客家集落では一般的な石の積み方である「石駁坎」を採用したものだ。石は地元のものを使い、大きな石1つに少なくとも5~7個の石を組み合わせることで、安定し、環境にも溶け込むのだ。
郭さんは道すがら、植物の香りを嗅ぎ、味わってみるよう勧めてくれた。台湾原産グアバの葉の、実と同様の微かな渋み、タイワンホトトギスからほんのり感じられるキュウリの香り.....いずれも都市生活者の五感をリフレッシュしてくれる体験だが、これらの香りはまた地元文化とも深く関係している。
例えば、強烈な濃い香りを持つドクダミは、地元の客家の人たちが乾燥させてチキンスープと一緒に煮込む食材だ。また、カニクサは煮出して砂糖を少し加えると、冬瓜茶のような良い風味があり、体内の熱や毒素を取り除く効果がある、漢方薬のひとつである。地元の農家は農薬散布作業の後に、よくカニクサを飲んでいる。
適切に管理された自然環境は、生物の生存の道を残すだけでなく、住民らが何世代にもわたって積み重ねてきた生活の知恵や文化的な記憶も守ってくれる。人と自然が一つの場所で調和して共生すること、これこそが、環境トラストが目指すところなのだ。
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自然と約束し、里山を未来に残す。(提供:道法自然生態探索チーム)
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土地は信託された後も多くの人々の手で管理・維持される必要がある。写真は自然谷環境トラスト基地の管理チーム。