機会とらえスマートシティに先手
アドバンテック・インド支社のシャルマ氏も、世界最多の人口14億人を抱えるインドの市場が大きな潜在力を秘めていることに同意する。インドのモディ首相が2014年にインフラ強化を掲げ、2015年に「スマートシティ・ミッション」を打ち出した。全国で100のスマートシティを建設し、水道、電力、交通などのインフラを全面的に改善するという計画だ。これぞアドバンテックが貢献できる分野ではないだろうか。
ヴィジャイ氏によると、インドでは28もの州でスマートシティの建設が進行中だという。
「政府の政策は私たちにとって大きなチャンス」と話すヴィジャイ氏。スマートシティ計画の主軸は、IoT、人工知能、産業の自動化にある。これらを台湾とインドの双方の強みを生かしてインドに導入していくのだ。ヴィジャイ氏がさらに強調するのは、アドバンテックの強みはハードウェア製造にあり、一方でインドのエンジニアは数学的な計算方面に長けており、非常に優れたソフトウェアを設計できるという点だ。
「強者同士の連携」といえば、台湾ではパソコン受託生産五大メーカーにしろ、アドバンテックといった産業用コンピュータにしろ、いずれも世界のトップレベルにあると楊氏も考える。台湾では、理工系の優秀な学生100人のうち、おそらく約90%がハードウェアや半導体分野に従事する。だがインドでは、優秀な学生100人のうち90%がソフトウェア分野に進む。このような両国の人材協力には、大きな相互補完性があるのだ。
関連して楊氏は、路上でのナンバープレート認識技術の応用について触れた。というのもインド人は車を、まるでバイクのように列の隙間を縫うように運転することが多いため、本来は3車線の公道が、実質的に6車線のようになってしまう。そのため、監視映像のアルゴリズムは実際の交通状況に対応させる必要がある。また、インドの空気の質はあまり良くなく、さらに高温多湿のため、屋外環境光の屈折や空気の質も考慮しなければならない。アドバンテックの産業用コンピュータは風雨に耐えられる設計だが、インドスタッフによるソフトウェア設計があってこそ現場のニーズに合ったサービスが提供できるようになったという。
これだけではない。さらに、アドバンテックが開発している堅牢型コンピュータやエッジコンピューティングは、頻繁に停電が発生するインド市場のニーズにぴったり合致している。本来、産業用コンピュータは、防水・防塵・耐振動といった過酷な環境での任務や業務遂行に欠かせない重要な場面を想定して設計されている。一方で、ソフトウェア大国であるインドは、これらの技術を活用し、世界中のさまざまな産業に応用可能なソリューションを提供する支援ができる。

アドバンテックの産業用コンピュータは、24時間連続稼働を想定して設計され、OS面の優位性と優れたメンテナンス性を兼ね備えている。