台湾芸術大学の沈昭良‧兼任副教授は、『光華』が近々出版する写真集『美‧台湾:人文写真集』に次のような序文を寄せてくださった。「この本は、農業、民俗、自然、建築などの写真を通して、台湾内部の豊かさと多様性を立体的に表現している。また文化の記録や芸術文化推進、そして政策コミュニケーションにおける写真の強大な力を見せつける」と。
もう一人の推薦者である写真家の鍾宜杰氏はこう記す。「深山から海辺、都市から田園まで、『光華』のカメラマンは実地にフィールドワークを行ない、資料を渉猟し、一筋の光や波しぶきを忍耐強く待つ」と。取材に訪れた先々で、露光や光線、色彩、構図などの専門知識を駆使しつつ、限りあるフレームの中にいかにして物語と美を収めるか——これは『光華』のカメラマンが撮影時に常に向き合う課題でありチャレンジである。
台湾の美、それは海に山に働く人々の勤勉さ、民俗祭典に見られる敬虔な心、環境意識の芽生え、建築における文化の実践などにある。これらの美を写真に収められるのは、長年にわたって台湾と向き合い、すべての力を写真撮影に注いできた人だけであろう。こうした蓄積があるからこそ、『光華』は写真を「農業立国、食を天と為す」「民俗洗礼、梵音頌」「自然覚醒、天と人」「建築蘊美、光影顕」というテーマで整理し、この大地の人と文化の価値を際立たせることができるのである。
これとは別に、『光華』は2019年に中央研究院で写真講座「神采台湾」を開催して以来、毎年シリーズイベントを開催して世界の百余りの国や地域に向けて報道していく。また、こうしたイベントをキャンパスでも行ない、第一線の写真家によって、写真一枚一枚の背後にある思考や努力をシェアしていきたいと考えている。こうして若い世代が写真撮影の本質を知り、また「台湾の美」がその心をとらえれば、さらに台湾の文化への自信を深めることができるだろう。
こうした優れた写真のほかに、今月の『光華』では、ポストコロナ時代の変化とニューノーマル、原住民族の鼻笛の継承、米食復興運動などについても報道する。中でもぜひお読みいただきたいのは、台北科技大学の紅楼で開催された『光華』45周年記念写真展と海外取材座談会に関する記事だ。写真が私たちを感動させるのは、それを見たときに、心の底のアイデンティティを呼び起こすからであろう。さまざまな記憶や感情から生まれるつながりは、写真そのものが記録した瞬間をはるかに超える。こうして瞬間がとらえた「物語」が継続していくことこそ、写真の魅力と言えるだろう。