故宮と教皇庁との展示企画協力
2015年6月に馮院長は、ジュゼッペ・カスティリオーネの展覧会の契約のためフィレンツエのサンタ・クローチェ聖堂を訪れ、さらに足を延ばしてローマに向かった。そこで教皇庁の手配により、サントス二等書記官とともに所蔵室に足を踏み入れることができた。
「サントス二等書記官でさえ初めてということで、所蔵室で丸一日所蔵品を調査し、展示企画を議論しました。それでも見られない場所もありましたが、実地に見学することで、企画を具体的に想像することができました。帰国後は故宮で専門チームを設置し、東アジアに関係するカトリックの歴史と合せて、企画を具体化していきました」と院長は語る。
サントス二等書記官の方では、故宮の歴史資料に基づき、所蔵室を管理するベネディック神父と検討を重ね、所蔵室から60点を選び出し、故宮の展示企画のために提供した。
教皇庁が2016年2月の展示を希望したため、時間的にかなり厳しくなったが、双方の緊密な協力で準備は着実に進んでいった。
2013年に就任したフランシスコ教皇は、人間と自然の調和を重んじ、全世界の信徒に向けて発した回勅において自然保護を論じ、アッシジのフランシスコに倣って、主の創造された宇宙万物を自身のごとく見なして関心を寄せ、環境問題に対するバチカンの重視を示した。
また、フランシスコ教皇は2015年12月8月(無原罪の聖母の祝日)から2016年11月20日(王たるキリストの祝日)までをいつくしみの特別聖年として、12月8日の開始当日からサン・ピエトロ大聖堂の聖なる扉が開かれた。
2015年11月5日、故宮博物院の馮明珠院長がローマ教皇庁で宝物借用の契約を交わし、展覧会が実現することとなった。