ディーラーの責任
大部分の消費者は農作物の輸送や流通ルートに詳しくないため、仲買人や卸売業者を「中間搾取する者」と見がちだが、実際には、産地から食卓まで届ける間にはいくつもの仕事があり、産業が一定程度の規模を持てば、分業が進むのも当然のことなのである。「台湾で、これほど多くの果物が安く売られているのも、卸売業者が原価を低く抑えて、スピーディに輸送しているからです。卸売業者が産地で果物を入荷して市場へ運び、それを小売業者が仕入れて迅速に青果店や市場へ持ち返ります。だからこそ消費者は、産地の採れたての果物を24時間以内に手に入れることができるのです」と、かつて卸売市場で働いたこともある許哲瑋さんは客観的に分析する。
ただ、起業して販売者になった許哲瑋さんは、これまでとは異なるルートを確立しようと考えてきた。「消費者には正直に生産と販売の情報を公開し、生産者に対しては可能な限り作物を販売していき、会社が安定的に成長して業績が上がれば、社員も長く働くことができます」と言う。これが起業以来変わらぬ彼の初心である。「これが私が考えた、すべての利害関係者にとって最良の方法なのです」と言う。
生産者と消費者の間に立つ者として、許哲瑋さんは頻繁に産地に行って優れた生産者を訪問している。いかにして最高の質を維持し、なおかつ安定的に消費者に届けられるかこそ、会社を安定的に経営していくための最大のカギであり、チャレンジ でもある。そこで、状況が許す限り、彼は作物を台中市大雅にある会社に送ってもらい、それを社員が選別し、包装して顧客に送るようにしている。輸送の難しい一部の果物は、彼らが産地を訪れて加工を経てから出荷する。
果物によっては工夫も必要だ。パパイヤのように収穫後に熟成するものは、箱の中にそれを助けるための炭酸カルシウムを添えたりする。
消費者にとっては、無毒で安全な果物であることが基本条件だが、口で言っただけでは証明できない。そこでオンラインで販売する果物は毎年必ず検査に出し、科学的な検査報告を根拠としている。また、知果堂は良好なアフターサービスでも知られている。消費者から品質に関するクレームがあれば、すぐに確認して返品を受け付け、それと同時に産地の関連情報や専門知識も伝える。彼らは理念や感情に訴えるのではなく、市場のメカニズムに従って、すべての業務を着実に行なっていく。「こうしてこそ産業チェーンがつながり、動いていくのです」と言う。
知果堂と提携している「恋上甜美草苺園」は、市場では珍しく無農薬でイチゴを栽培する農家だ。