EVのトレンド、カギは人脈
TEMICOは東元電機と日本の三井物産の合弁企業であり、三井物産は1893年にムンバイに出張所を設立して以来、インドで26以上の投資案件を展開してきた豊富なネットワークを持つ。
「三井はインドに非常に優れたネットワークを持っており、現地の法規や政府のニーズに精通しているため、政府のプロジェクトを受注することができました。三井が東元に目をつけたのは、東元の技術的な強みが理由です。電気自動車(EV)の動力システムにおける重要な工程を掌握するだけでなく、価格や性能の面でも競争力がありますから」とリム氏は語る。
インドは一筋縄ではいかない国で、収益を上げるのがそう簡単ではないのもよく知られている。「私たちはまずリスク評価をしっかり行ってから、インドへの投資に踏み切りました」と話すリム氏は、「インドの価格に対する敏感さは、外からは想像しがたいほど高い」と指摘した。政府の法令や技術要件を満たしながら、相対的に低コストでの製品生産が求められる中、製造コストを削減し、利益率を高めることが工場にとって最大の課題だという。しかし、60年以上の経験を持つ東元は、毎年コスト削減を追求し続けている。
リム氏は、多くの台湾企業のインド投資の狙いについて、主に米中間の地政学的な影響を受け、中国との経済分断を進めるためにインド市場進出を進めているとの見方を示す。だが東元の場合、インドへの投資はインドのEV市場の大きな可能性を見込んだものだ。
また、多くの外国企業のインド進出の理由は、インドで製造したものをインド国外の市場をターゲットに輸出するためなのだという。一方、東元は「メイク・イン・インディア」政策に応え、地産地消型の短いサプライチェーンに対応する形で、直接インド国内市場に供給しているのだ。

TEMICOは高効率モータやEV動力システム用モータを生産していく。