児童に関するすべての措置をとるに当っては、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
すべての児童は生命に対する固有の権利を有し、国は児童の生存および発展を最大限の範囲において確保する。
児童は出生の時から氏名を有する権利および国籍を取得する権利を持ち、またその父母を知り、かつその父母によって養育される権利を有する。
児童がその身元関係事項を不法に奪われた場合には、国は、その身元関係事項を速やかに回復するために適当な援助および保護をあたえる。
父母の一方または双方から分離されている児童は、父母と連絡を維持する権利を有する。抑留、拘禁、死亡などの理由による分離の場合には、国は不在となっている父母の所在に関する情報を提供する。
国は、父母または他の関係者による誘拐から児童を保護する。
児童は、表現の自由についての権利を有し、その意見は児童の成熟度によって相応に考慮される。
児童は、あらゆる種類の情報を求め、受け、伝える自由を有する。
児童は、思想・宗教の自由を有し、父母は児童の能力の発達に応じて指示を与える権利・義務を有する。
児童は、結社の自由および平和的集会の自由についての権利を有する。
児童は、その私生活や通信を恣意的または不法に干渉されず、またその名誉や信用を不法に攻撃されない。
国は児童が多様な情報や資料を利用することができることを確保する。ただし、児童の福祉に有害な情報から児童を保護するための適当な指針の発展を奨励する。
児童の養育および発展については、父母が共同の責任を有し、国はこれに対して適切な援助をあたえる。
国は、あらゆる形態の虐待から児童を保護する措置をとり、必要な援助を与える。
家庭環境を奪われた児童には、国が特別の保護および援助をあたえる。解決策の選択に当っては、児童の種族的、宗教的、文化的、言語的背景を十分に考慮する。
障害を有する児童は特別の擁護と教育を受ける権利を有する。国はその児童が社会への統合を達成することに資する。
児童は、病気治療および健康回復のための便宜を与えられ、保健サービスを利用する権利を有する。
すべての児童は社会保険その他の社会保障からの給付を受ける権利を有する。
父母は児童の発達に必要な生活条件を確保する第一義的な責任を有する。
児童は無償の初等教育を受ける権利を有する。国はすべての児童に対し、中等・高等教育を利用する機会が与えられるよう措置をとり、中途退学率を減少させる措置をとる。
教育の目的は、児童の人格・才能を発展させ、自由な社会における責任ある生活のために児童に準備させることとする。
少数民族や原住民である児童は、自己の文化を享有し、自己の宗教や言語を使用する権利を有する。
児童は遊びやレクリエーション活動を行ない、文化的生活および芸術に自由に参加する権利を有する。
児童は経済的な搾取から保護され、また児童の教育、健康もしくは各面での発達に有害となる恐れのある労働への従事から保護される権利を有する。
国は麻薬および向精神薬の不正な使用から児童を保護し、これらの物質の不正な生産・取引における児童の使用を防止するための措置をとる。
国はあらゆる形態の性的搾取および性的虐待から児童を保護する。これには売春や不法な性的業務を含む。
国はあらゆる形態の児童の誘拐、売買または取引を防止するための措置をとる。
いかなる児童も、拷問または残虐な若しくは非人道的な若しくは品位を傷付ける扱いや刑罰を受けない。自由を奪われた児童は、法律上あるいはその他の適当な協力を得る権利を有する。
15歳未満の児童は敵対行為(戦争)に直接参加しない。国は15歳未満の児童を軍隊に採用することを差し控える。
あらゆる形態の搾取、虐待、あるいは非人道的な扱いを受けた児童に対し、国はその身体的、心理的な回復と社会復帰を促進するための適当な措置をとる。
刑法を犯したと申し立てられ、または認定された児童に対しては、その尊厳および価値観を向上させるよう配慮した方法により扱う。